『シン・仮面ライダー』のネタバレ感想を書きます。

この項について

 『シン・仮面ライダー』を観てきたので、感想をネタバレバリバリでやっていきます。未見の方への配慮? そんなものはない。少しでもネタバレ、嫌。という方はブラウザバックしていただきたい。どうなっても知らんぞー!
 警告はしましたので、ネタバレしつつ、普通に感想、というよりピッときたとこの羅列で語ってまいりたい。色々ピッときたのです。
 それではいってみましょう。

優しい主人公、本郷猛

 シンライダー、そのメインたる人物の本郷猛。その人物造形は、優しい男、というのが全面に出ていました。ある意味では甘い男であり、そこが弱点だとも明言されます。実際、ハチオーブ戦ではそのせいで倒しきれなかったりもするし、一文字戦でもそれが出ちゃってピンチになる。しかしその優しい男が、改造されたとはいえ人間を殺すことになり、でもそこからショッカーから世界を守る為に戦う決意を持つ、というのは素直に飲み込める展開でした。
 そして、その優しさでルリ子さんの信頼を得た、というのもまた飲み込めます。最初は冷徹な装いをしていたルリ子さんが、最終的には所謂デレに突入するのも、この本郷猛の優しさなら当然だな、と思わされます。それが分かっていたから、緑川博士も本郷猛を計画に組み入れた。それくらい、本郷猛は優しい男なのです。
 そんな優しいヒーローが最後にああなる、というのは悲しいものがありました。次回作構想とか立てられない時代かもなので、ここできっちり終わっておくか、という感じで本郷猛の話が決着してしまうのは、それでも見ていて切なくなるものがあります。もっとこの本郷猛の話が見たかった、と思わされるくらいには、魅力のある人物像になっていた、と言っていいでしょう。案外途方もない手で再登場、とかあるのかもですが。

ルリ子さんについてのいくつか

 本郷猛はキーマンですが、この話の他のキーマンとして、ルリ子さんはいます。このキーマン具合は思った以上で、ショッカーの作戦に対するメタとしてがっちり絡んでいたりします。
 ただ、その作戦を起案したのがルリ子さん、というのもあるので、そこを潰すのに動くというのが泥縄感もありました。とはいっても、ここの起案した話とかはさくっと口伝です。シーン回想とかは全くない。この辺一々語ったりしないで、サクサク進むのがこの映画です。そういうことなのかー、みたいなこっちの勘繰りが必要です。
 さておき。
 それにしても、ルリ子さんが最初クールビューティーだったのに、本郷猛を信頼していく流れとかが結構しっかり描写されているのが良いです。特に内心のモノローグとかはないですが、話の流れから信頼が積み重なっているなあ、というのが理解出来る仕組みがきっちりしています。それゆえに、後半の展開は地味に来ます。開かんと欲すれば、まず蓋をすべし、というのが良く分かるやつです。最期のマフラーのくだりとかねえ……。隙をしょうざぬ二段構えでしたよ……。
 さておき。
 本郷猛とルリ子さんの関係性も良かったです。寝たのか? とか言われても、そういうんじゃない、信頼なんだ。って返してててえてえでした。普通ならラブで済ますとこを、信頼で、というので、そういう関係性、良いな! ですよ。シン特撮シリーズの中ではそっち、つまりラブに寄るのでは? と思っていたんですが、そこをこうスルーしてくるとは。海のリハクの目になりますよそりゃ。

最低限の情報量の一文字隼人

 上でさらっと言及しましたが、仮面ライダーならこいつが出ないと嘘だよな、な一文字隼人の登場はびっくりしました。尺的にどうなるんですか!? でしたが、その尺ゆえに最低限の情報量での活躍でした。
 最初敵として、というのでライダー対決! には中々滾りました。一文字がまさかでしたから、ライダー対決はグッときますよ。しかも後発だから腹のベルトに風を受けなくてもいい、変身ポーズすればいい、というので変身やってくれます。よくよく考えるとベルトに風の方が理屈に合うな? とは思いましたが、変身ポーズは七難隠すって言いますもんね。変身をお見せしよう。ならもう七難隠しますよ。
 さておき。
 一文字、マジで唐突の登場なので、本郷猛より掘り下げる時間が少ない、という難点があります。もうちょいじりっと洗脳解く流れでも、とは思いましたが、尺ないからね。
 でも、ここできっちり、一文字にも何か絶望があってそれを多幸感で埋めてた、というので、洗脳が解ける時にギャン泣きしてたのに、その後は意外と飄々、『仮面ライダー』初期一文字めいてて、この感じの中に、あんなギャン泣きする絶望が、と思うと味わい深いです。この最低限の情報だけでも、一文字の人物像がちゃんと生まれてて、上手いな、と思いました。

仮面ライダー0号戦

 最後の戦い、チョウオーブこと仮面ライダー0号戦は、相当の泥試合感があって、『ゼイリブ』の眼鏡をかけろ! のシーンを勝手に彷彿としていました。こっちはマスクを外せ! でしたが、今までのしっかりした殺陣で戦ってたのが嘘のようにジタバタでした。
 しかし、ダブルライダーでも0号は中々倒せない。サイクロンを犠牲にエネルギー供給断ったけど泥試合。大丈夫かこの展開! でしたが、意外とこれはこれで、でした。それまでわりと戦闘はスタイリッシュにやってたので、その反動というか。やっぱ泥臭くするのもありやろ、という知見でしょうか。最後に確かに記憶に残るものがあったかとおもいます。泥仕合としてですが。
 というか、最初仮面ライダー0号のベルトを見た時に、ダブルタイフーン案件!? V3!? って個人的にどよりましたよ。0号とか言い出して、ホッとしたレベルです。ここのくすぐり方上手いなあ、です。勝手に惑乱してましたからね。手玉に取られてます。

神宿り過ぎ細部

 神は細部に宿るとはいいますが、この作品は細部に神宿り過ぎです。細部がメイン以上に主張し過ぎず、しかし存在感があるので、見てて細かく楽しかったです。
 個人的に一番良かったのは、『仮面ライダー』でカメレオンなのかカメレオン男なのか、な名称不明案件である死神カメレオンが、死神班の作ったカミキリカメレオン、となってその死神! ってなったとこです。制作班の! そういうのもあるのか。これは同時に死神班、つまり死神博士がいることも示唆しており続編があるならそこを擦ってくるかしら、となりました。
 他には、怪人ことオーブは銃でも倒せる、というのが示唆されていたけど本当に銃で倒せるんかい! なとことか、ショッカー下級構成員が終盤出てこないのはハチオーブの施設破壊したからか、とか、緑川一家の関係とか明示されないとことか、色々あるので再確認してみるとまた何かありそうです。

まとまらない

 まとめていこうかと思ったんですが、色々と思うところが多くてまとまらないので、このまままとまらない、として終わりたいと思います。いい悪いでいうと俺は1200点(10点満点中)、といういいと悪いで答えろよ! 案件というか、すげえ刺さったので悪く言えねえ、という感じです。サソリオーブのくだりが基本いらなくない? というか、そもなんだったんだサソリ? というかはあるんですが、基本楽しかったので、俺は1200点(10点満点中)ってなるしかないのです。
 あれです、細部のとこが細かく細かくいい為、その細かいとこをカカッと書いてしまいたくなるんですが、細かすぎて良く分らん感想になりそう、というのもあるんです。立花と滝の名前がそこで出るか! というのと、その名乗ったのがお前らか! という辺りをくだくだしたくなるけど、抑えていんです。まとまらないから。
 全体的に多くの人にとってよい映画というよりか、俺は好きな映画、というやつだったなあ、とは。俺が面白かったから他はどうか知らぬ! です。とはいえ、ラブみたいな展開が一番ありそうなシンシリーズでそこに至らなかったり、『シン・ウルトラマン』よりヒーローという側面と戦うことという側面が強いので、そこの観点が合うと楽しいですな。『仮面ライダー』の初めてがこれ、というのなら羨ましいですな! という感じで、やはりお茶を濁すことにします。したらな!

 ネタバレ?感想 公式コミックアンソロジー 『リコリス・リコイル リピート』

リコリス・リコイル 公式コミックアンソロジー リピート (MFC)
リコリス・リコイル 公式コミックアンソロジー リピート (MFC)

 大体の内容も何もアンソロジーだよ! ということで『リコリス・リコイル』の公式コミックアンソロジーです。リアクトの感想は、
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 にしたためましたが、そちらと比べるとわりとちゃんとした(?)アンソロジーだなあ、と感じました。上記リアクトが搦め手で来た感じだったのに比べると、わりとド直球が連打されて千球だッ! された感じでした。千束さんとたきなさんの関係性の話がたくさんあって、うん、これこれ! となりました。これに比べたらリアクトは本当に搦め手だったんだなあ、と思うのも仕方ないレベルです。
 というか、このアンソロだとたきなさんが千束拗らせ厄介オタというか、関係性矢印がドデカでぶっ刺さっているのが多いで大変面白かったです。そうそう、こういうのでいいんだ、こういうので。という井の頭五郎顔になるのも、ここまでまっすぐだとしょうがないね。
 それにつけても、ちさたきの、あるいはたきちさの尊さというのは常軌を逸していますね。本編の流れからこの転調を見せられると、うん、これこれ! と何度も言いたくなるくらいうん、これこれ! 具合です。女の子がわちゃわちゃして百合というかいい関係性して終わり。この流れを、アンソロジーだからこそ絶えなく続けられるので、とにかくこういうの本当にたくさん見たかった。いや、今見れている! というので、これらアンソロジーが2期のやれることを削りまくって、みんなのアンソロが積みあがり過ぎて、一歩も先に進めない……。と変則的な谷仮面状態にならないか心配です。それくらい、出すネタとしてはがちがちにやれるとこやってるんですよね……。世の中の愛が怖い……。
 さておき。
 個人的にはたきなさんの方が好きなので、にいな涼『番犬たきな』が個人的にこのリピートではマストでした。たきなさんの持ち味が全て過不足なくきっちり、特に千束さんに対する気持ちがしっかり入れてありました。それでありつつ、お話の方もちゃんと振れ幅があってそこで更にたきなさんの持ち味が出る、というのでいい作品です。とコミックマスターJ顔も辞さないやつです。
 それ以外でも、めきめき『某日某潜伏場所にて…』での千束さんのセーフハウスで熟睡してしまったたきなさんの、千束さんに信頼を置いているんだよなあ、が最高でしたね。DAでは気を抜いて寝るなんてしたことなかったのに、千束さんがいるから安心して、というのでもうちさたきしか勝たん! というやつでした。
 さておき。
 それにしても、たきなさんの”あの”ソフトクリームネタはこのアンソロでも擦られていたのがやはり気になってしまいます。それだけ視聴者の度肝を抜くやつだったのは分かるので、ここをどうやってくるか、というのは一つのマイルストーンにすらなっているのだなあ。と思いました。そしてリアクトのもずく付きモーニングはこれらの中でもやはり頭一つ抜けてるんだなあ、とも。吉田創先生、どうして……。
 とかなんとか書きましたが、とりあえずちさたきあるいはたきちさの成分が大変強いアンソロだったと思います。そういう意味では全うなアンソロだったなあ、とも。リアクトが色が濃かったのね……。
 とかなんとか。

  • ちなみにリロードは下記

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 GGST 名残雪から見る名残雪対策 その2

GUILTY GEAR -STRIVE- スターターエディション 2022 - PS4

この項について

 発売から2年近くが経過したので、流石にそろそろキャラ対を詰めないといけない時間じゃないか? と遅咲きの桜ムーブを後ろ向きの、全力疾走だっ! ってコミックマスターJさん面する項になります。
 と言いつつも久しぶりに名残雪ネタの文章です。全力でまとまらなかったので放置していましたよ。でも、ちょっと向き合わないとな、と思ってこれを再起動します。
 で、なぜ、名残雪で名残雪対策を? というのは、あれです。名残雪ミラーだと6:4で名残雪の方が強いでしょう? なので、動きが分かる名残雪で相手の名残雪を対策するという所作に打って出たわけです。6:4は是正しないといけません。
 わりと意味不明な文言が並びましたが、さておき、前回
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 の三つの肝のうちの一つ、名残雪の牽制について、今回は深堀骨していきたいと思います。まとまる自信がないですが、男なら、やってやれだ! ってマサルさんも言ってた。
 でも、やるわよ。

第二回目 牽制を含めた立ち回りについて

 今回は、牽制周りを確認しながら、名残雪が名残雪相手にどう立ち回るべきか? という点を明らかにしたいと思います。割と意味不明ですが、遅れるなよ?
 前回では、名残雪は名残雪に対して三すくみになる、という話をしました。してたので確認するかそうなんだなと思ってください。話を進めます。
 つまり、遠Sは屈Sに勝ち、屈Sは前Pに勝ち、前Pは遠Sに勝つ。
 ちょうどいい具合に三すくみの構造になるのです。そしてどれが刺さっても、冠雪は出しておくコース。じゃんけんに負けたら体力三割飛ぶという、訳の分からないデスゲームです。
 ですが、この三すくみは簡単ではありません。今回はそこを中心に詰めていきたいと思います。

三すくみの基礎と発展

三すくみの基礎

 まず基礎的な部分ですが、なぜ遠Sと屈Sと前Pの三すくみが成立するかという話からしていこうかと思います。何事もベタ基礎は大事なので、ここはちゃんと記述しておきます。
 まず遠Sと前Pの関係性。これは基本前Pが勝つ組み合わせです。これは解説が楽で、前Pが上半身無敵ゆえ、打点の高い遠Sをすかせるのと、遠Sは結構食らい判定が前に出ている、所謂神経が通っているのとで、すかしつつ殴れるという形です。
 次に前Pと屈Sの関係性。これは、前Pは下半身には無敵がないので、打点の低い屈Sが当たりやすい、というものです。前Pの打点からしても、屈S相手には当たりにくいのもあります。
 そして屈Sと遠Sの関係性。これについてはリーチの差がある為に、屈Sを空振りさせつつ攻撃できるというものです。
 となると、見えてくるのが、この三すくみの成立要件にリーチがあることです。
 特に屈Sに対する遠Sがこの影響を受けます。簡潔に言えば、屈Sより遠Sの発生が遅く、ヨーイドン! するなら遠Sが潰されてしまうのです。
 なので遠S→屈S→前P→遠S……、という無限月読に見える形にも、そういう微妙な淡い、そういう側面もある、と覚えておきたいです。

この三すくみからの脱法

 とはいえ、これには当然脱法があります。
 それは前跳びです。この選択肢は隙が大きい遠S及び屈Sを潰しにいきやすいので、その二つのメタとして前跳びがある、と言えます。この跳びからコンボできれば僥倖ですが、名残雪の牽制間合いで跳ぶと大ダメージは難。無理ではないですが、立ちKが当たる当たらないを瞬時に見分けるスキルが必要です。
 さておき、この脱法たる跳びですが、これは前Pにはしこたま弱いです。名残雪のジャンプ攻撃は基本そんな強くないので、前P対空は簡単にされてしまいます。なので、跳びのメタがよく見て前Pになります。
 つまり、遠Sと跳びに強い前P対策は名残雪の名残雪戦では必須です。
 ここの基本はやはり屈S。牽制及び跳び間合いでは屈Sは前Pに刺さるので、余計に狙う形になります。
 また、跳びをするならJSを出す出さないで揺さぶりをかけるのも重要です。JS先端をひっかける感じの間合いなら、出さないで着地屈Sという選択肢が浮かび上がるからです。この出す出さないは他のキャラに遠めで跳びこむ時にも使えるネタなので覚えておくといいでしょう。(素人の上から目線)

三すくみの発展

 この三すくみの要の一つは先述した前P対策ですが、この前P対策である屈S対策もまた、要となります。跳びは脱法でしたが、今度はちゃんとガチで組み合いましょう。
 屈Sの要素を切り分けると、リーチ長い、発生まあまあ、打点が低い、下段、硬直はままある、くらいでしょうか。名残雪で名残雪の屈Sをどうにかするとなると、やはりリーチにはリーチをぶつけるんだよ! になります。足元無敵の技がある訳でもなく、下段をいなせる訳でもない。
 なので、跳びという脱法以外ならリーチで勝る技をぶつける、というのが最適解。つまり遠Sを刺しこむ、となる訳ですが、上記の通りやはりリーチ差を活かせないと発生の差で負けやすい。
 詰まる所、屈Sの間合いだと、こちらも屈S打つしかない。
 などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ。
 屈Sの発生はまあまあ。遅くはないが早いとも言えない。なので、発生が早くリーチもそこそこある技で潰す、というのもありなのではないか、と思うわけです。
 そんな都合のいい技があるか、ということですが、ここは立ちKなどはいかがでしょうか。
 発生は早く、足元に食らい判定が薄い。意外といけると思うのです。まあ、やはりリーチ差がいかんともしがたいとこはあり、立ちKの間合いまで寄れていたら立ちKは機能する、みたいなとこではあるんですが。
 ともあれ、屈Sには遠めから遠Sか、近めから立ちKか、という形になる。その中間が、屈Sを打つセンスみたいなことになってしまうのが業腹ですが、結局そこにいきつくのかもしれません。それにまた前Pで処る形にもなるので、やはり業腹ですな……。

ブラッドゲージがある時の竦みあい

 基本の三すくみは先述通りですが、ブラッドゲージがあるとそこが結構変わってきます。立ちHSの発生とリーチが一気に変化するのがその理由です。
 特に二つ溜っている時の立ちHSは遠S並みのリーチでその先端に食らい判定がないので、前Pに対しても悪くても相殺なので強気に行けます。屈Sにもリーチで勝てるし、発生でもそこまで負けない。遠Sほど派生の動きは多くはないですが、ガードされても先端だと反撃手段があまりない。一応最速冠雪が確定反撃になるかもしれないですが、かなりビタなので狙っては難しいです。
 これによりブラッドゲージが溜まっていれば立ちHSを無法に振り回せるので、怯えろ! 竦め! という感じになってしまいます。
 とはいえ、相手も名残雪なので、ブラッドゲージ溜まっているところから必殺技を出すのは大変勇気が要ります。なので立ちHSは単発になることが多くなる。なので上手く単調になったところに跳びこむか、意地で確反冠雪を決めるか、というのが対策になります。やはり脱法の跳びは必要ですね……。というか、立ちHSも脱法ですなこれは。

まとめ

 とりあえず、遠S→屈S→前P→遠S→……という感じに三すくみはありつつも、跳びや立ちHSが脱法になる、という話でした。基本的に屈Sが強いので、結局どこまで屈Sを打てるか、という話なのかもしれません。
 ということで、今回はここでお開き。次はあるかどうかわかりませんが、あったらあった、となります。
 したらな!

 『セレッサと迷子の悪魔』体験版の時点で神所謂GOD機関な件について

ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔 -Switch
ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔 -Switch

この項について

 皆さん、『セレッサと迷子の悪魔』発売まで今日を含めて2日、更に正確に言えば発売日は2月17日だということを知っていますか! 全員買え!
 という錯乱はさておき、今回は『セレッサと迷子の悪魔』の体験版のレビューをしようという、何言ってんだ! ふざけるな! そいつは俺が! と橘さんに言われるくらい意味不明な行動に出ます。太陽を褒めるには日没を待て、なのですが、チュートリアルな序盤の作りの手触りが大変良い為、このままいけば名作可能性……! となったので、あともうちょっとで発売日だからこそ、体験版を今から触るんだ! 手遅れになっても知らんぞー!! という文章をカカッと出力しようと思います。今なら出来る。今だから出来る!
 さておき。
 『セレッサと迷子の悪魔』はどういうゲームかというと、話としては魔法使いの少女、セレッサと、そのセレッサのお気に入りのぬいぐるみに取りついた悪魔、チェシャとが、セレッサの母親を救いに凶悪な妖精のいる森の奥に向かう、というのが大体の筋です。
 ゲームの基本は、セレッサとチェシャ、それぞれを同時に操っていくタイプのアクションアドベンチャーです。例えば、左の方のスティックでセレッサを移動させ、右の方のスティックではチェシャを移動させるようになります。
 これだけ聞くと操作混乱可能性が高いのでは? と気になる方もいらっしゃるでしょう。同時操作はお好き? 結構! ますます好きになりますよ!
 と勝手なこと言うだけなのも何なので、この同時に操作する面について深堀します。
 実際のところ、操作の方は慣れは必要です。慣れないうちは混乱のるつぼで、実際結構頭が混乱します。ですが、これに慣れていく過程をきっちりと楽しめる作りになっています。体験版の範囲までは大体チュートリアルの側面が強いのもありますが、ここの情報の出し方とプレイのさせ方が水際立った仕上がりです。
 お話として色々と仕込みながら、プレイを覚えさせる導線が実にハイレベルだ! なのです。まずセレッサの動きの特徴を覚えさせつつ、話が進むとチェシャの動きもさせるようになる、んですが、ここでセレッサとチェシャを同時に動かす場面は最初はあまり忙しくすることがありません。ゆっくり歩いていくことが可能です。
 ここはまずお互いが動いていくことから始まり、チェシャが移動できない箇所をセレッサで移動して先回りしたり、セレッサが進めない蔦をチェシャが破壊したり、と徐々に同時に操作するのに慣れるように作られています。なんなら、チェシャをぬいぐるみ大にしてセレッサだけで動く、ということも結構出来ます。局面局面でお互いバラバラに動かないといけないとこはあるんですが、意外とセレッサだけ動かせる場面もあります。あるいは、こまめに回復させる為にぬいぐるみにしておくとか、ジャンプポイントでぬいぐるみを使うとかさえあります。
 さておき。
 このゲームで一番頭を使うことになるのは、当然ですが妖精との戦闘です。ここもまずは1体から初めて、徐々に妖精の数を増やしていく、という難易度の曲線が見事といえます。
 戦うのは主にチェシャ。ダイレクトアタックで妖精をぶちのめします。ゴリゴリ妖精を殴る様は非常に頼もしいです。
 対してセレッサは攻撃は出来ません。攻撃はチェシャに任せるしかないのです。しかし、敵の動きを封じる行動が可能なのと、体力や魔力の切れたチェシャの回復もすることになるので、セレッサ棒立ち、というわけにはいきません。積極的に動かないといけないのです。
 ですが、相手の動きを封じる、というのがポイントであります。この足止め、チェシャの補助としてももちろんですが、セレッサの防衛としても機能します。敵が一体でも動かないなら、セレッサの被弾可能性はその一体分減る、ということです。それに動けない敵の辺りの安全度も上がる訳で、セレッサの移動の範囲も変わってきます。この辺の止める敵の選択も話が進めば大変そうですが、基本は嫌らしい敵を止める、というのが分かっていれば、セレッサの動きも逃げる以外が自然と見えてくるかと思います。
 で、このセレッサの動きとチェシャの動きは、実はどちらも動かす方の手で完結しています。前述通り、セレッサが左、チェシャが右なわけですが、移動は各々その方にあるスティック、行動もその方にあるLあるいはRボタンで対応、となっています。この辺が分かってくると、同時に動かすのがだいたいわかった、というもやし感地点に到達です。この辺のUIの卓越性は素晴らしいです。
 さておき。
 動かし方の話があらかた出来たので、カメラワークについて。
 スティック左がセレッサを動かし、右がチェシャを動かす。となるとカメラはどうなるの? ですが、これはカメラがほぼ定点で進みます。なので基本的に奥に進む動きを取っていれば、先に進むようになっていますし、カメラが動く場面では一旦止まるか自動で進むことになります。
 この辺の、カメラ位置の扱いがこのゲームやたらいいと思うんですよ。カメラが移動するせいで操作が混乱する、という場面には体験版の中では遭遇しませんでした。そしておそらく、この先もそういうのはないだろう、と思います。それくらい、二者を同時に動かすことへの無駄なストレスを排している。この辺の気配りは全体通してあるのでは? などと体験版だけで思ってしまうのです。これは、名作をやっている時の味だ!
 さておき。
 最後に細かいところですが、行動の煩雑性を減らす施策について。細かく色々なところで難易度の調整をさせる仕組みが出来ています。リズムを取るとこを自動で終わらせることが可能だったり、敵からダメージを食らわない設定にできたりします。
 ノーダメージってありなんかい! ですが、このゲームの同時にキャラを動かすというゲームの仕組みを楽しませる為には、ダメージなしすら視野に入れる。それだけ同時行動で遊ばせようという心に満ち満ちているというかちょっとあふれ出ているというかな形なのだな、と勝手に思います。それくらいに、同時行動の面白さをしっかり出す、だろうな? だろうな? と複数回確認したいくらいですが、それは発売されてから確認したいと思います。
 というわけで、カカッと感じたことを書いてみました。実際同時行動をどこまで楽しませてくれるか、が今最大の楽しみです。これで序盤ゲーだったら焚書坑儒です。儒がとばっちりですが、それくらい期待が膨らんでいるのです。このふくらみを皆も持ってほしいので、Switchで『セレッサと迷子の悪魔』の体験版を今から落としてやるんだ! 序盤が結構出来るし、セーブデータは引き継げるぞ! つまりJUST! DO IT!
 とかなんとか。

 ネタバレ?感想 公式コミックアンソロジー 『リコリス・リコイル リアクト』

リコリス・リコイル 公式コミックアンソロジー リアクト (MFC)
リコリス・リコイル 公式コミックアンソロジー リアクト (MFC)

 大体の内容も何もアンソロジーだよ! ということで『リコリス・リコイル』のアンソロジーのリアクトの方です。アンソロがもりもり出るわ、そのアンソロジーに第2段も出るわでジャン・クロード・バンダムの筋肉フィーバー! ワオ! な勢いがつきすぎてリコリコの2期が来る前に焼き畑農業になってしまうのでは? というアトモスフィアを感じつつ、でも色んなリコリコみたいんや! というプリミティブな精神は大事にしたいと思います。
 関係ない話が長くなりました。アンソロです。アニメの方では出来なかったことを色々とお出しする、というリコリコ世界の幅を拡張するムーブが多いのが楽しかったです。
 なのですが、7つの話のうちの2つでたきなさんの盛り付けの美的センスが擦られていて個人的に大変味わい深かったです。
 その一つ目は葉来緑先生の一作。話の筋としてはDAの子がたきなさんの様子を見に、という話でその軸線はちゃんとしていたのですが、そこのアクセントがたきなさんの凶悪な美的センスが存分に発揮された、ちゃんとデザートって断っているかなんとなかっているグロ映像で笑いました。脳みそぷるんぷるん! みたいなのをきっちり綺麗に――この場合綺麗って言っていいか微妙ですが――再現していて、よくそれを客に出す気になったな? というアレさ加減が凄かったです。元ネタというか擦られる理由になったやつからして、ちゃんと作れるけど美的センスがぶっ壊れているんだなあ、だったんですが、この話の場合は作る腕前自体は相当高くなっていて、だからこそあそこまで……。だったんだと思うと妙に感慨深いものがあります。
 二つ目は吉田創先生の一作。喫茶リコリコ経済面でやばい! だったので新サービスを、というのでたきなさんが提案したのがモーニング、だったのですが……。という話。うずらのゆで卵二個とウィンナーともずく、という取り合わせ自体は普通に感じられるそれですが、もずくを野郎の下のへあだとしたら? ということでたきなさん以外の他の面々が阿鼻叫喚してて笑いました。特にそれが映し出されるということはない、というので想像するだけですが、想像するだにもずくの重要性というか、もずくナンデ!? というか。うずらの卵もわりとなんでですが。
 そも、たきなさんは何が問題なのか全然分かっていない、というのにはその辺のセンスが壊滅的ゆえに……。という凄みを感じました。それの目撃例がないだけとも言えないだろうしなあ。本当に美的センスがアレなので素で気づいてないっぽいんだよなあ。で、この混乱の最後はお前が持ってくのかよ! というオチで素晴らしかったです。この見事な仄めかし! オリジナル笑顔
 さておき。
 個人的に大好きな漫画家さんな野上武志先生のやつは、こういう側面からこの作品を見るのもアリやろ! というので喫茶リコリコの面々を再確認する、という内容でした。こういう視点ずらし、いいね! ある意味ちゃんと『リコリス・リコイル』を整理するというのではかなりお役立ちな一作だったかとも思います。それをリアクト一発目にもってくるのは、クソ度胸とでもいいましょうか。他の人がやったらここまで締まらなかっただろうなあ。
 とかなんとか書きましたが、リコリコの埋められるところがどんどん埋まって、2期は大丈夫なのかなあ、という気もしてくるけど、その辺はなんとかなれーっ! ってやってるのかもなあ、と書いて〆とします。したらな!

  • リピートの1は下記

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  • リロードの1は下記

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感想 斉藤淳 『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』

アメリカの大学生が学んでいる本物の教養 (SB新書)
アメリカの大学生が学んでいる本物の教養 (SB新書)

 大体の内容を先にまとめると、「教養を持つ者とはよい思考者である」。これを一冊使ってかっつりと語る本となっています。
 それがアメリカの大学生がこういうのを学んでて日本って遅れてるー! なのやろー? とか思われるでしょうが、実際のところアメリカの大学生が学んでいる具体的な本とかは全く出ません。そもそもこの本の中でアメリカに対して触れられる場面がマジで少なく、そういうのはいいから教養とはどういうことか、わかっているか! というのを縷々綴っている本となっています。
 いきなり個人的事情をぶっぱしますが、ワタクシ、教養というのがなんなのか知りたい侍。それも、オタク/おたく/ヲタクの教養って何だろう、という地点から、そもそも教養とは何だろう、という知識欲がウオオオオ爆裂究極拳! しております。なので教養とあれば、教養としてのなになにというタイプを除いて*1、カカッと購入して読む、という教養ガチ擦り勢なのですが、この一冊は教養についての話としてはベストポジションにある一冊、と言えます。
 教養という言葉を考える本を幾多読んできた身としては、他の教養についての本はお前のスタンドが一番なまっちょろいぞーッ! とまでは言わないまでも、教養についてどういう立場をとるかくらいで教養という現象それ自体にはそこま突っ込んでいかない、それはとりあえずこれくらいにして、という中座するタイプがほとんどでした。
 そも、教養というのが大変面倒というか、ここ、ここ! はいここ! という自明なラインが実はいまいちない。つまり人によってふんわりしてしまう線引きになってしまうところであります。教養の語源から探ったり、リベラルアーツの意味合いから攻めたり、言葉として流布する過程でどうなったかを語ったり、そも最初はどういう使い方だったかをだったりと、軸の置き方で噂のアイドルユニットあい&まい&もこという戯言をいうくらいには確実に固めるのは放棄して、ある程度形を作って突っ込む、という形でした。
 それはそれで教養についての理解のたしにはなるんですが、大体の場合で結局はその本の基本的に語りたいところへ速攻突入して教養については、さっきしたでしょ! とたしなめ顔だったりします。しかし、この『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』はその題名から想像もできないくらいにがっつりと教養とは、というのを考えていく本となっています。
 この本は端的に言ってしまうと教養を持つ者=「いい思考者」になるには、という話が主体です。言うほど、「いい思考者」という言葉で擦ってこないのですが、教養を持つ者、という感じの言い回しは「いい思考者」という言葉の前にも後ろにもあるので、そこを全部「いい思考者」、で置き換え直して捉えるのが肝要かと思います。
 では、「いい思考者」になるには? というのは具体的な内容の方の話になるのでネタバレ(?)は避けますが、1章目の副題「深く学ぶ」と2章目の副題「自分の頭で考える」辺りが、わりとこの本を端的に表していると思います。もっと言うと、正解の難しいことを「深く学ぶ」。そして事実を正しく読み「自分の頭で考える」、というのが大体「よい思考者」だ、ともいえるかと思います。この後に4章の副題「自分の意見をつくる」まで行けたらいい、という感じでしょうか。この辺の理屈はひっじょーに体にしみますねえ! と京水声が出るくらい、個人的には見たかったものだったので、本気感謝(マジサンキュー)です。
 斯様、教養についてはガチですが、逆に言うとアメリカの話でも、大学生の話でも、そもそもそれを学んでいる話でもないという、ある種タイトル詐欺に近い一冊になってもいます、まあ世の中には『忘れる読書』ってあるのにその忘れる読書の話が一節しかない本もあるので、これは批判には当たらないでしょう。……そうか?
 というか、本当に思うのは何故『本物の教養』だけで成立しなかったことです。この本、実際問題『本物の教養』で十分成り立つ本なのです。アメリカとかが絡んでくるのが本当に微々たるものなのです。
 一応、この本に通奏低音として流れる「Good Thinker」、つまり「よい思考者」という言葉を引用する箇所があるので、それでアメリカでも大学生でも学んでいるでもないけど微妙にそれが入っている、と見るのがいいかもしれません。そもそも『本物の教養』って大上段過ぎて遠いところから槍で突き刺されること確定でもあります。そういう意味では「アメリカの大学生が学んでいる」は目くらましだったのかもしれません。
 さておき。
 この本では教養を持つことの意義、というのも考えさせられます。5章目の副題「人と共に学ぶ」で顕著なように、ただ一人で完結するのではなく、周りも巻き込んでいくという話もされます。しかし議論などは人と人のすることなので、それだけではなく撤退ラインも決めておく必要があるなど、単純に巻き込んでいこう! という仕草をしていないのも好感が持てます。そこをごり押しする人が多すぎますからね……。こういうところをきっちりしているのもまた「よい思考者」の仕草なのかもしれません。
 ということで、教養を持つ者=いい思考者になるには、という話を新書一冊で綺麗にまとめあげたのが、この『アメリカの大学生が学んでいる本物の教養』となります。教養について考えているという方には一読オススメするやつですが、世の中に教養について考えている人が多いのだろうか? とも思ったりもします。とはいえ、いい思考者、という考え方はもうちょい世の中に施行されていいし、個人的にもオタ教養の考えの大きな一助になりました。それだけで、満足、したぜ……。と完全満足顔の鬼柳京介です。
 とりあえず教養ってなんぞ!? という酔狂な向きには全力全開でオススメ出来る本です。アメリカも大学生も学んでいるもあんまりないですが、本物の教養についてはきっちり活写されているので、是非。
 とかなんとか書いて終わり。したらな!

*1:大体そういうのは教養についてが雑。偶に『教養としてのロック名盤ベスト100』みたいな名著もありますが、大体教養とつけとけば、みたいな思考が透けてくるので困ります。教養としての、をつけるのを題に適当につける人には猛省を促したいですね。

 『ゲームの歴史』について思ったことなどをつらつらと

ゲームの歴史 1
ゲームの歴史 2
ゲームの歴史 3

どうしても吐き出しておきたい

 岩崎夏海・稲田豊史『ゲームの歴史』に関して、
hanhans.hatenablog.com
hanhans.hatenablog.com
hanhans.hatenablog.com
 と三部作めいて書いたのですが、格ゲーマー視点以外でこの本がどこかおかしい、と感じた点をつらつらと書いていかないと、いい加減頭の中で残り続けているので面倒なのです。ということで、今回は変に感じる点を縷々綴っていきます。
 吐き出したい点は三点。用語の用途について、ダブルスタンダードめいたとこについて、そしてゲーム選択のアトモスフィアがおかしいことについてです。
 ゲーム関連の事実の誤り、嘘、大げさ、紛らわしいに関しては岩崎啓眞氏のブログ
www.highriskrevolution.com
 を参照していただいた方が早いのでそっちを見てください。ここではそれ以外でなんか変やなあ、という部分について言及していきたいと思います。
 さておき、それではいってみましょう。

壱:用語の用途について

 まず、この本で気になる点は用語の使い方、用途が変に感じるところです。もっと言えば、用語の使用半径がガバガバとでもなりましょうか。
 例えば、この本で頻出するワード、つまり著者が力を入れている部分のワード、「ハッキング」の適用範囲がガバガバです。単純に世に広まっている「ハッキング」の、コンピュータに侵入して、とかいうのではなく、何かあって、それをもとの用途と違う方向で使う、ということを「ハッキング」と、この本では言っています。
 言いたいことは分かるんですが、「創意工夫」とかでもいいとこを、逐一「ハッキング」とするので、とりあえず「ハッキング」って言いたいだけやろ。という疑念がふっと沸いてきます。
 それだけならまだしも、ここに横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」に対しては、「ハッキング」で置き換えないのです。この本において「枯れた技術の水平思考」はリスペクト対象なのだ、ということの表れです。さっきまでそういうのを「ハッキング」で済ませてきたのに、いきなりそこだけ「枯れた技術の水平思考」が出てくるので、そこにはやはり横井軍平氏リスペクトが根底にあるんだろうなあ、と感じました。
 他にも「箱庭」の範囲が現実世界にまで発生する為、ガバガバ過ぎて変やなあ、という状態です。

弐:ダブルスタンダードめいたとこについて

 世の中にはあっちでいったこととこっちでいったこととで話が違う、というダブルスタンダード事案は油断するとあるものですが、この本もそのダブルスタンダードめいたとこがちょいちょいあります。
 一番気になる点は、初代ドラクエのホスピタリティ、おもてなし精神は肯定しているのに、PS期のゲームのホスピタリティ、おもてなし精神は否定するとこです。
 初代ドラクエの最初のシークエンス、つまり城の中にいる状態から、話すことやアイテムを取る、鍵を使うなどの基礎の動きをすることでチュートリアルというホスピタリティについては、大変高評価をしています。
 しかし、PS2期の辺りの話になると、最近はなんでもおもてなしする、と低評価をしています。PS2期のチュートリアルはそれはそれで現代的ホスピタリティだと思うのですが、初代ドラクエの頃のRPG初心者と現代のRPG初心者に何か差があるとかいう言及などもなく、とにかく悪いみたいな文章が載っていました。
 初代ドラクエの頃と現在とではゲームの質が違うから、ホスピタリティの質とかも変わってきているし、そういうのに対して色々なアプローチもある、と思うのですが、その辺はにべもなく、であります。
 こういう細かいダブルスタンダードがちょくちょくあるので、変やなあ、という状態になるのです。

参:ゲーム選択のアトモスフィアがおかしいことについて

 この本、ゲームの歴史と銘打っているので当然ゲームの歴史の話をするわけです。しかし、その時に取り上げられるゲームの選択、そのアトモスフィアがおかしいのです。
 具体的に言うと、ゲーセン系、つまりアーケードゲームとPC系、特にエロゲと同人ゲーの分野が非常に手薄なのです。他のとこもチョイスが微妙ですが、ことアーケードとPCは特に弱い、あるいは杜撰とも言えます。
 アーケードは初期のインベーダー辺りはいいんですが、その後のシューティング、格ゲー、音ゲーは全くアウトオブ眼中。『ドルアーガの塔』とか『グラディウス』とか『ストリートファイター2』とか『ビートマニア』とか、一時代を作って、未だに影響力のある作品について全く紙幅を割いていません。セガの大型筐体とか『バーチャファイター』とか、あと『鉄拳』とかは出るんですが、どちらかというとPSとサターンの違いについての言及だったりします。そこでも『バーチャファイター』はレバガチャで戦えない。それに比べて『鉄拳』は初心者でもガチャプレイで、とか言い出すので雑なので、色々お察しではあります。
 PCゲー、同人ゲーはどうしてもエロゲの文化圏について話さないと、なのでそこは仕方なかったのかもしれないんですが、日本にインディーが生まれなかったという言説が出てきて同人ゲーは? という疑問がすっくと立ってきます。上海アリス幻樂団から自転車創業まで、色々あったやろ! と憤りが出るのもむべなるかな。洋のインディーズとはまた違う層ですが、ない訳じゃないのでは……。となります。
 こういうチョイスがやたら弱いところが頻出するのも、変やなあ、という思いを持つところです。

まとめ

 とりあえず、事実誤認の点以外でも、変な点は色々ある本だ、というのが実際のところだ、という話でした。どうにも力が足りてないというか、ちゃんと配慮がないというか、そもそもダブスタは気をつけろとか、それより唐突に脳の話はやめろというか、とにかく言いたいことはありますが、とりあえず今回書いたので本当にさぱっとしたので、これでもう関わり合いにはなるまい、とけりをつけて、今回は終わりとします。したらな!