「ハルヒ」に対する一妄想

 どうしても「学校を出よう!」三巻の副題がやるせないのですが、この思いはどうすればいいのでしょうか、こんばんは。
 さておき。
 「ハルヒ」二巻は読み終わってから数日が経ちましたが、特に書きたいことは有りません。 それでもしいて書くとするなら、
 世の中の評価が押しなべて微妙なのは“ハルヒ”に対してフォーカスが合っていなかったのが主な原因だ、という辺りの事でしょうか。
 私としては、今回はむしろ変則設定の三人を重視したのではないか。
 “ハルヒ”ではなくそれを取り巻く勢力にフォーカスをあわせようとした。
 しかし重点をあまり大きく“ハルヒ”からずらすわけにはいかない(“ハルヒ”はこの世界の焦点ですし)。
 それゆえに結局焦点がぼやけてしまい、なんだかとっ散らかった感覚を与えられたのではないか。
 しかし、谷川流は実はある程度こうなると分かって書いたのではないか。
 そんな印象を持ったのです。 それでは何故そう思ったのかを書いていきましょう。
 
 さてさて。
 
 それではまず、取り巻き勢力の関係等に微妙に力点をおいた*1所以は何だったかという事から妄想してみると、といっても何のことは無く二巻あとがきにあるように
『まさか続くとは思いもよっていませんでした(p278・1〜2行目)』ので、
 あんまりそのへんの事を前巻で匂わせていなかったために二巻にてほんのりと出し、補正しようとしたのではないでしょうか。*2
 ここで注意すべき点は、意図的に「匂わせて」いなかったのではないかという事です。 大体一巻の時点で、既に三種の別個の勢力が“ハルヒ”に焦点を合わせている状態なのに、それらの勢力間になんのいざこざも発生しないはずが無いんですよね。しかしそういう描写は一巻にはありませんでした。*3
 一巻では最終的に三勢力が共闘している形になっていましたが、これはどの勢力にとっても危機的な状態であったことに他ならず、結構例外的なことだったのです。
 つまり一巻の話は、勢力間の話をあえて盛り込まない(少なくとも主点に置かない)事で“ハルヒ”が世界の焦点であるというインパクトを強める方向を、一話完結としての完成度を選んだ事になります。まあこれは応募作なんだからこうするのは当たり前といえば当たり前ですが。
 しかしこの話が“続く”となると、そうそう世界の危機を連発するわけにもいきませんワンパターンですしね。
 そうなると俄然、三勢力同士の関係が話作りにおいて重要さを増してきます。*4
 ですが上で書いた通り、一巻の段階では勢力間関係は意図的に排除する形になっていたわけで、それをいきなり持ってきて唐突に“ハルヒ達”の関係がギクシャクしだしても、見ている方としては困惑するだけです。
 ですから、「そういうこともありますよ?」と前置きしておいて今後の布石とする事が二巻の目的であったと解釈できるわけですが、しかし取り巻き(?)三人に目を向けるがゆえに、どうしても主賓の“ハルヒ”がぼやけてしまった、と私は結論するわけです。
 ここで二巻の内容と上記のことを照らし合わせてよくよくと考えてみると、今回“キョン”は「カメラマンとして(役者としての)三人を中心に見ていた」という事と「三人を中心に書いた」という事が上手くシンクロしている事が見えてきてること。
 さらにそれでも結局は“ハルヒ”が重要である事を“、「キョン”がどんなにカメラを向けて“朝比奈さん”達を見ていても、結局一番気になるのは“ハルヒ”の動向である」という流れで表している辺り、谷川流はきちんとこの形を考えて書いているのと推察できて、私としては驚嘆せずにはいられません。
 やはり谷川流恐るべし!です。 かなり良く読まないと分からないのが難といえますが。
 
 私は、作者が上記の流れをある程度わかってやったということは、つまり話の展開をきっちりと考えている事を表す重要な証左であると見ます。
 すなわち今後の「ハルヒ」長編版は結構波乱に満ちた展開が待っているかもしれないという事です。 といっても基本のゆるいテンポが大きく崩れる事は無いでしょうけれど。*5
 谷川流は「ハルヒ」の基本のテンポをそのままに、どうやって波乱を書きだすのか。
 今後も「ハルヒ」シリーズには目がはなせませんね。 気を抜かずにいくとしましょう。
 
 はてさて。
 書く事が無いと言っておいてこんなに長文を書くやつがあるかという感じですが、なんだか微妙評価が多かったので擁護したくなったのです、半官びいきですね(違)。
 でも今後、私は「谷川流」関係にはあんまり言及はしないでしょう。(何かを求めて読もうとするといいかげんイライラするので)
 こういう事は、はてな内の誰か有志がやってくれそうですし、*6(←他力本願且つ酷い)
 また「晴天を誉めるには日没を待て」という諺もあることですし、作品の良し悪しわろしは完結して以降に後回しにするとして、私個人は「ハルヒ」が終わるまで存分に楽しませていただく所存ですので皆さん言及をがんばってください!(←再度他力本願)
 
 とか、いいつつ、また何の気なしに妄想を垂れ流すんだろうな〜、わたし。(←おちが台無し)

*1:私的には、特に超能力者勢力にというか古泉にスポットが当たっていたと感じました

*2:そう考えて、「一巻ではあんまり古泉の存在感って無かった→ゆえに今回しゃべり倒しで目立たせる」というふうに思うのです

*3:少なくとも私の記憶には残ってない

*4:例えば“ハルヒ”が起こしたちょっとした事がA勢力には多大な利益と成るも、B勢力には甚大な被害になることがあるわけです。 そうすると当然のようにAとBとの間でいさかいが起きて、そこに当然のように“キョン”が巻き込まて・・・、といった按配で話を進める事が可能になるわけです。

*5:私的にはこのテンポこそ、「ハルヒ」シリーズの最大の持ち味だと確信しているのですが、それはまた別個の話

*6:誰か、“キョン”のほかの四人に対する呼び方についてとか、“キョン”が括弧つきで話すタイミングについてとか考えてくれんかねぇ〜、おそらく無駄だけど