先日の「富士見ミステリ―文庫(富士ミス)」のあれの中で、「手垢の付いていない絵師をスターダムに」という表記があったりしたわけですが、これはそんなに過大な自己評価ではないのです。自意識過剰だとは思いますが。
そういうわけで今日は、ここ最近の絵師の発掘について一まとめをば。以下敬称略。
さてさて。
実際の所、絵師の発掘については「富士見ファンタジア(以降富士見)」は確かにこの辺の発掘が上手かったな、思います。*1
四季童子、駒都えーじは言うに及ばず、古くはあらいずみるい、草河遊也、森山大輔、いのうえ空、最近では山田秀樹、宮城、浜田よしかづなど、そのシリーズの顔として印象に残る人を多く出しています。
特に今年の新人賞関連の絵師さん達などは、まさしく十人十色、多岐に渡ったラインナップをしていて、イラストに向ける気合いと言うものが伝わってきます。
しかし、最近では「電撃文庫」にその差を詰めれてきている、そういう実感もあります。
最近の「電撃文庫」ではメディアワークスの力をフル活用しているのか、主にエロゲー方面の絵師の登用が相次いでおり好評を博しています。*2
また、電撃の場合は電撃イラスト賞というのがあります。
ちょっと前までは椎名優(第五回)以外ではこれと言った人が出てきませんでしたが、藤田香(第五回)が大成したり、田上俊介(第九回)が出てくるなど、最近になってなかなかの発掘をしており、今後も良い新人を発掘してくると思われます。
この辺の事から、「富士見」が「電撃」への対抗の為に「富士ミス」を変革したとも考えられます。対抗するには、ちょっと分が有り過ぎるのが玉に瑕ですが。
まあ、いずれ「富士見」自体も変革するつもりで、その前哨戦としてなのでしょう。
それはさておき。
「富士見」「電撃」と見てきたので次は「角川」の番であるわけなのですが、
今までを思い返してみると、あんまり見るところが無いという気がします。
確かに隆盛期の頃はいろいろと発掘してきていたものの、最近は大体他のレーベル等が見つけて来た人を用いる形が主流で、またその用い方も何かずれて*3いたりしました。
また発掘してきたとしても、妙に独特なというか時代と寝ていない感じの人である場合が多く、そして発掘してきた人を用いた場合は、一部を除き何故かシリーズがことごとく短命*4だったため、一回こっきりで消えた人が多数でていたと思います。
そんな「なんだかなぁ」な感覚がごく最近までありましたが、こと絵師選びに関しては、「Phantom」のノベライズ辺りから何か大事な事に気付いたのか、今までのことが不思議な位に良くなりました。
そして、その変化が2002年のスニーカー学園小説大賞付近――四季童子さんと原田たけひとさんを絵師として起用した――から今年のスニーカー大賞受賞作「涼宮ハルヒの憂鬱」へとつながり、その成功の理由の一翼を担った*5わけですが、今年の新シリーズの内、新人の絵師が「ムシウタ」の頑童以外いない辺り、発掘のという点ではやっぱり今ひとつな事に変わりなかったりします。件の「手垢の付いた」とは電撃文庫よりむしろ角川スニーカーに対しての言葉かもしれません。
以上、おおざっぱにまとめてみました。
これ以外だと、特にファミ通文庫とMF文庫の発掘はなかなか良い感じだったりしますが、その辺はまた気が乗ったらと言う事で。
さてさて最後に余談をば。
よくよく考えると、最近は「オーフェン」周辺の頃までは結構いた漫画出身の絵師があんまり出てこなくなって、エロゲーまたは自サイトで描いている人が多く出てくる様になってます。
これは、道具や技能の敷居、生活の面で、イラストと漫画の間が大分と離れたと言う事なのかと思われます。(詳しくは分かりませんが。)
私はスクウェア・エニックスから出るだろう新レーベルは、漫画家に絵師を頼むことになると思っているので、そうするとそれは時代を逆行している、という事になるのかもしれませんねえ。。
あ〜でも、「ガンガン」系列は元からイラストと漫画の垣根があいまいだからな〜。関係ないのかも知れん。
その辺りは、はたしてどうなるんでしょうねえ。(←いつもの考えオチ)