感想

内容を要約すると、「クレーターの真ん中で、資源の大切さを諭すグリズル」
はっきり言って“いつもの川崎節”という以外なんと言えと思わないでもないですが。
さておき。
この作者は最大の特徴として「真顔で冗談を言う」、「できるだけ皮肉った言い回しをする」という、読む側には大変慣れを必要とするスキルをおり、その上そのスキルが全体をシュールレアリズムの水域に押し上げているために、読む人によってはショック症状を起こしかねないくらい読み手を選びます。 その辺は各々注意し、自己防衛です。
内容的にはボンクラアクション小説なので、見開きのあおりを真に受けてはいけません。 というかあれを書いた人は大変だったろうなと思います。 でもまったく実らない、その努力。
さてさて、この作者の著作を読んで且つ持っている身として言わせていただくなら、「こんなサクサクしたアクション書けるんだったら、もっと早くから書いてよ!」と言う位、キビキビとキャラが動いているのが印象的です。 いつもはもうちょっとダランダラした具合なのに、どこのスイッチを押したらこんな風に書ける様になったんでしょうか。 いや〜、不思議不思議。
このノリと調子で書いていってくれれば、もうちょっと頻繁に作品が見られるんだろうけど……。 そうそうなんどもスイッチ入らないか。
一応、続編を希望してアンケートにでも送ってみるか。
<追記>
はてさて、この作品のノリ、仮に作者独白型とでも名づけましょうか、というのは人によってはデ・ジャブを起こすものかもしれません。 というのも最近のこれに近い形がひょこひょこ出てきて、受けいれられているからです。
たとえば、柴村仁我が家のお稲荷さま。」や沖田雅「先輩とぼく」、または、うえお久光悪魔のミカタ」の挿話もこの形に近いといえるでしょう。 こう見ると、時代がやっと「川崎康宏」に追いついたというか、受け入れる素地が出来たのかもしれませんね。