感想 「乱破GOGOGO!」(ISBN:4829116641)

<八街歩:てくてく:富士見ファンタジア文庫:560円(古本300円)>

内容を要約すると、「馬鹿にも程が有る」

バカだ! あいつバカだ!(ゲラゲラ)

素晴らしく駄目です、この小説。 それがいい。
もう、出てくるキャラが大概に痛んでいるのが堪らなくよろしいです、私には。 特にヒロインの静刃の傷んだ人間っぷりは素薔薇しく、ここまで感情移入を阻害されるキャラも珍しいですよ、はい。 個人的傷んだキャラランキングトップのキース・“真顔の変質者”・ロイヤル(魔術師オーフェン・無謀編)に匹敵する位でした。 長生きはしてみるものだ、とこういうのでは余りしたくありませんでしたけれど、そう思いました。
それから、素晴らしくバカです、この小説。 それがいい。
特に、山田風太郎基本メソッド「忍術って言えばなんでも許される」と石川賢基本メソッド「死ぬまで殴れば人は死ぬ」の変形、「記憶をなくすまで殴れば記憶をなくす」は素薔薇しい。 その内でも「忍術」なんかはさらに格別。 ほとんど超能力なのに、あとがきで「一部、正しい忍術描写ではない」とか、しれっと言い抜ける嘘吐きっぷりはたまりません。 超ツボ。「・・・変なツボ」
それに、気を抜くと全く話が進まないのもまたいい。 一冊の内で3回も「話が進まない」っておのずから言う小説ってのも、これは珍しいんじゃないでしょうか。
それからそれから、「転校生と社会の裏側」という方法が既にギャグにしかならない事の証明としても興味深い。 現代ファンタジーあるいは現代学園異能がもうメタな使い方が出来るまでになっている*1、というのはなかなか面白いことであるなあ、とかなんとかわけもなく思ったり。
とにかく気に入りました。

*1:フルメタル・パニック!」とか先例はあるにしても