道端にて。 桐生「伊達さん、どうですこれ」 先行していた桐生はそう言って、手に握った銃を伊達に見せる。 伊達「9ミリオートか……。お前とうとう銃器を……。というかそれ以前に桐生よ、そういうのは懐にしまっとけ」 桐生「懐の方は鉄パイプで一杯なんだ」 ジャケットの裏を見せる桐生。不明の理由で手に入れられた鉄パイプが、3本。 間。 静かに首を振る伊達。 伊達「……。しかし、なんだってそんなもんを?」 桐生「だって、あの翔太とかいう若造がいちいち軸線がずれて鬱陶しいじゃねえか。でもこれさえあれば……」 伊達「……。まあ今までお前の暴力行為を見逃してきた俺がとやかく言えることじゃねえが、 とりあえず、殺さないようには気をつけろよ」 うなずく桐生。 桐生「わかってる」 伊達「しかし桐生よ。金が無い金が無いって言ってたお前が、よくそんなのが買えたな。結構な額だったろう」 桐生「ああ。9万ちょっとだ」 ぎょっとして桐生の方を向く伊達。 伊達「……おいまて桐生。俺はこれでも一応マルボウだから知ってるが、そりゃあそんなに安いもんじゃないはずだぜ」 静かに首肯する桐生。 桐生「……やっぱり伊達さんもそう思うか。 俺が現役の頃からもう10年も経ってるから、俺の相場勘がおかしくなったのかと思ったよ。 やっぱりその辺のチンピラを5、60人ノした金で手に入るもんじゃないよな……」 伊達「わかってんなら、そんなもん買うなよ!」 強く言い放つ伊達に、桐生も伊達の方を向き、きつく返す。 桐生「でも伊達さん! あのくそガキを放っておいたら、伊達さんの娘さんがっ」 伊達「別にそんな怪しい銃じゃなくて、その懐の鉄パイプを使えよ!」 かぶりを激しく振る桐生。再び伊達の方を向く。 桐生「落ち着いてくれ伊達さん! 俺は銃を乱射したいだけなんだ!」 伊達「お前が落ち着け!」 口論する二人に近づく影。チンピラである。 チンピラ「おいおっさんたち! てめえら俺のシマでなにわめいてやがんだぁ、ああっ?!」 言われた一瞬で戦闘モードが起動する桐生。すぐさまチンピラに向けて銃を構える。 桐生「わかったよ伊達さん。こいつらで我慢する」 伊達「馬鹿、使うなーーーッッ」 桐生「駄目だね、撃つね! 死ねよやーーーっ!!」 どかーーーーーーん 倒れ付す桐生。そのそばに悲しそうな伊達。 伊達「言わんこっちゃ無い。とりあえずセレナにいったん戻るぞ」 桐生をかつぐ伊達。桐生ぼつりとつぶやく。 桐生「……。そういや、伊達さんはNPCの場合、不死身だったな……。化け物め……」 伊達「お前にだけは言われたくない」