感想 野村美月 『“文学少女”と繋がれた愚者』

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

 内容を要約すると「心葉君、舞台に立つ」
 心葉君、じわじわと変わっていくの巻。前進率がこの巻から加速していくわけですが、その始めの第一歩であります。つらくても、前に進んで欲しい。と読み手に思わせてくれる、恐る恐るでも確実な一歩です。
 さておき。
 今回は最後の遠子先輩による文学少女の領域(テリトリー)が素晴らしい。2巻では領域出てきても「そんなのってない!」な感じで終わってしまったのが、嘘のような、素晴らしきエール。ああ……。なんだろう、この暖かさ。
 やたら名言なので、好きな部分をここに引用しておきたい。読みやすいように改行しつつ。

 本を閉じれば、物語は終わってしまうのかしら?
 いいえ! それはあまりにも味気ない読み方だわ。
 あらゆる物語はわたしたちの想像の中で無限に続いてゆくし、登場人物たちも生き続けるのよ。
 わたしたちは、その物語を明るい光に満ちたものにすることもできるし、
 哀しく切ないものにすることもできる。
 だから、“文学少女”であるわたしは、彼らの未来が素晴らしいものであると想像するわ!

 ああ、遠子先輩……。