感想 若木民喜 『神のみぞ知るセカイ 3』

神のみぞ知るセカイ 3 (少年サンデーコミックス)

神のみぞ知るセカイ 3 (少年サンデーコミックス)

 大体の内容。「悪魔の内幕も」。悪魔にも悪魔が取り付くことがある、取り付くと特殊能力発動、という二つの重要なタームをさらっと流しながら進んで行く話巧者であることよ。それ以上に巧者は表紙。裏表紙の春日さんが道着にミニスカート、という一枚の絵で非常に端的にキャラを表していて、上手いなあ、と。毎回二キャラ攻略(語弊、でもないか)するということをかっちりやっているから、裏表紙のキャラ紹介も二人できちんと収まるようになってるし。後、帯が擬似透過処理がまた上手い。毎回無駄無駄無意味に神々しい表紙が阻害しないように思える。やはりベイブリッジ・スタジオ仕事は手堅いなあ。
 今回の白眉は春日編。と言いたい所ですが、そうでもない。桂馬が必死に相手に合わせた萌えロールするのは相変わらずですが、かわいい物と武道、どっちかしかできるか! というところであっさりロール止めてばっさり切るところとか、最高だったけど。桂馬マジその辺クレーバー。色々必死な春日さんも良かったですよ? 男の子の夢設定万歳。
 ハクア編も良かった。エルシィがちゃんと成長してる、という部分が特に。あんななのに、わりと凄いやつになっている(桂馬がいるとはいえ)、というのが描かれた最初の場面、といえましょう。
 では、何が白眉だったか、というと毎回二ヒロイン終わると入る緩衝地帯である所のFLAG.17「今そこにある聖戦」に間違いないでしょう。「バグすら愛するものだよ、ジョンブルは」、とまでいうと流石に嘘になりますが、それでもゲームを、というよりその中のヒロインを愛す桂馬の超執念が実を結ぶ話、と見えて、最後のオチで実を結んだのかどうかあいまいなまま終わるわけですが、そのオチ方がだいぶ示唆的で、結局落とし神という名声はいずれ消えていく、と暗示していたりします。この辺がこの漫画の大オチの伏線、とみると大層興味深かったりするわけですよ。勘違いかもしれませんが。その辺に白眉感じました。