感想 平坂読 『ラノベ部2』

ラノベ部〈2〉 (MF文庫J)

ラノベ部〈2〉 (MF文庫J)

 内容を要約すると「ラノベのある日常、その2」。今回はラノベ部設立の話、それにまぎれて、というかこっちのがメインか、な龍ちゃんと美咲のラブくないこれ話、そして衝撃の留学生登場話が主の三本となっております。
 ラノベ部設立の話は如何にラノベ部には龍が住みおる……、となったかが語られます。綾さんも伏龍といえばかなりの伏龍でした――というか現在の爆発の仕方がラノベ部限定なのが惜しいくらいであります。……あの扇子のセンスはラノベ部に行くようになってからの事なのだろうか――が、潤もたいがいに龍でありました。いくら相手がラノベを貶めるような発言したからって、あの反論は。発言の趣旨とか正直ぐっとくるにはくるんですが、あんまりこれにぐっときすぎるのはそれはそれで問題だろうなあ、とか。でも、やっぱり貶めるのは意味無いよなあ。というのは納得しました。
 その設立話に深く絡んでるのが龍ちゃんのラブくないこれ話。奥手の男子は無様でしょうは私の言葉ですが、この場合は奥手というより距離を計りかねての行動なので、むしろ応援したい、と思ったらオチが哀れでありました。これは主に龍ちゃんにとってひどい。二人の距離が近すぎたんだなあ。ということで龍ちゃんの今後に期待したいです。後、美咲はこのままだったら一歩間違うとわりと魔性の女ロールに発展するところだったので、今回で一応のオチをつけたのは良かったと思いました。いつかいきなり裏返ったッッッッ!! 状態になって魔性の女ロール発生させるかもしれませんが、そうなったらかなりの修羅場が発生しそうで怖いです。平坂読はまだ知悉してないので、その辺どうなるかわからん。
 で、今回初登場の衝撃の留学生、リア。文香がぽわぽわマイペースならこちらはシャキシャキマイペース。わりと自分のペースを維持することに腐心している、のかなあ。ペースの持っていき方が上手い、という方がしっくりくるか。その辺のペースと文香のペースがいい具合にマッチしてる、というのが二人の関係性なんだろう、と思います。波長が合うというのがいいのかしら。これは暦は今後大変ですよ! と思ったら今回から普通に大変でした。他に人が入らないと百合的な発展は無いくらいの微妙な距離が、この新キャラ加入でどうなるか、というとわりと迷走し始めてますが。今後もリアに引っ張られるように色々とイベントに参入することになる、と予言めいた言葉を残してみるテスト。
 さておき、この巻で印象的なのは潤のあれげな怒りの発露もそうですし、「メタがどういうことか、わかっているのか?」な所もですが、それより、文香とリアが「リア」で繋がったという辺りがもっとも印象に残っています。生まれた国も育ちもまるで違う二人が、同じ本で、その同じ所で互いに感銘を受けている、というのがなかなかの不思議。互いの思ったことは微細には違うのかもしれないけれど、大筋では合っている、そして暦は違う印象を持っている、というのが非常に、なんというか、色々と意味を持っていそうで、示唆的であるなあ、とか。個々人のプライベートな行為である読書で同じ読みを共有できる、というのは何故なのか。というのも興味深く感じました。この辺は突き詰めると楽しそうですが、わりと修羅の道のような気もします。読書論ってたいがい大上段だし。
 さておき。
 キャラ的なものの見方でいうと、リアもかなりの衝撃でしたが、それ異常の衝撃の姉崇拝妹雪華を我々は忘れてはならない。いきなり大舞台に登場と思ったらいきなり暦と謎を共有! こんな危険な妹がレギュラーになるはずがないと思ったのに! 「飲むと無病息災になるの」とか言っちゃう超危険娘なのに! 今後出すたびにぶっとんだこと言わせないとだから大変そうなのに! 平坂読、チャレンジャーだ。
 さておき。
 今回のベストワードは「もはや風俗の領域だった」。なにぃ!? それは真(まこと)だろうなっ!? ガタッ!←勢い良く席を立つ音