感想 桝田省治 『鬼切り夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!!』&『鬼切り夜鳥子5 禍★星に願いを』

鬼切り夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!! (ファミ通文庫)

鬼切り夜鳥子4 聖邪が街にやってくる!! (ファミ通文庫)

鬼切り夜鳥子5 禍★星に願いを (ファミ通文庫)

鬼切り夜鳥子5 禍★星に願いを (ファミ通文庫)

 大体の内容。「禍星がやってくる!! ヤァヤァヤァ!」&「ラスボス、結局あんたでしたか」。ラスボスさんの本気モードの強さは確かでしたし、因縁度もかなりのスペックでしたが、やっぱりシリーズラストなら新規ラスボスでしょー! とか思わなくもあったりなかったり。いっそ安倍さん復活でも、いやそうなるともうちょっと続くんじゃよしないと収まらないか、今回の状態を見るに。
 ということでシリーズのラストへ向けての大疾走、の準備段階4巻目と、大疾走、するのかと思ったらわりと脇道に逸れる事多しな5巻目、その両方をまとめて書いてみんとします。一応、きりが良いと言えば良いくらいな所で4巻は終わってますが、まとめて見た方がすっきりするというか、そうしないと逆にすっきりしないというか。そこで終わんのかよ! みたいなぶった切り感は見事なヒキだと感心しました。
 それはまあいいとして。
 5巻巻末あとがきでも語られているように、基本的に詰め込めるものは詰め込んでやるんだよ! という意気込みが見事に叩き込まれて、若干あふれていると言うか、実際にあふれていると言うか、ぶっちゃけ詰め込みすぎて尺が、という老婆心みたいなものが出てきてしまうくらい、できるだけ詰め込まれております。というか、それだけでは飽き足らずに次シリーズ狙いの伏線とか張ってるからな……。
 そんなわけで詰め込みまくりんぐなわけですが、その余波なのかなんなのか、どんでん返すのが趣味なのか、やたら状況がやたらめまぐるしくやたら移ろうのが今回の見せ場。ああなったかと思ったらこうなって、こうなったと思ったらああなった。というぶっちゃけ朝令暮改などんでん返しの連続で、見てておおー、と楽しめるんですが、あまりに変えるせいなのか、状況が一通り終わった後のカタルシスが、なんか霞を食むような、なんとも言えない口触りで、大層扱いに困りました。4巻ラスト付近は、「えー、なんでこんなことしてんだっけ?」という立ち位置で呼んでましたよ。ええ。で、そんな中でもラスボス戦はさすがに、と思ったらボスの人があの人のなので、またこいつなのかよ、という思いもあったりなかったりあったり。強かったんだけど、なんだか小物感があふれてて……。ラストも尺の関係上、溜めることなくだったしなあ。あれはあの流し方が綺麗ではあったから、いいか。最後の石段の絵が噛み合うのなんかは、とても良かったものなあ。
 キャラ的なものの見方でいうと、男の子は女の子に叱咤されたら動かないといけないんだよなあ、という達観を得るには十分なQの動きが楽しかったですね。後、荒木はいる必要はあるんだけど、意識がある必要は無い、というあんまりな扱われ方だったのが哀れでした。もっと意識がある状態で色々とあれば……尺が足りないか。
 次シリーズ、あるのかなあ。まあ、期待しすぎて無かったら凹みが激しいので、あまり期待しないで来る物拒まずの精神で待っていたいと思います。