感想 鈴城芹 『看板娘はさしおさえ 4』

看板娘はさしおさえ (4) (まんがタイムKRコミックス)

看板娘はさしおさえ (4) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「次回、感動の最終回! の前の回が感動だった件について」。そして、その回の最終回予告を見て、今後からきちんときららMAXを買おう、と決意した私。うわあ、もしかして最終巻出ないですかー!『Yes Yes Yes Oh my god』、と怖気おののいたんですよ。巻が出ないくらいの量で終わって、そのままお蔵入り。そういう例が枚挙に暇が無いのがきらら系なので。でも最後まで単行本化してくれたので、その怖気は不要のものだったわけですが、それでも『マジョラム』がそういう憂き目に遭わない為に、きららMAXを買い支え、アンケを送りしております。それはどうでもいいですね。
 この巻のポイントを一言でくっちゃべると、新キャラ多数、というのが上げられます。多数のキャラを舞わすのが鈴城芹の真骨頂! といわれますが、今回の矢継ぎ早っぷりは少々下衆の勘ぐりを発動せずにはいられないものがあります。話自体は早潮家メインで進んでいく従来型なわけですが、それでもやっぱり、ある程度キャラが増えないと話って回し辛くなるのかしらねえ、とかなんとか。正直、刑事さんとか必要だったの? とか思わないでも。
 が、それも最終回&一話前に綺麗に絡んでくる辺りで心持ちを一新させられます。多数のキャラが一つの事例に、それぞれの持ち味、あるいは役割を持って絡んでくるのは流石の一言。ぶっちゃけると桜さんの残虐行為手当顔は至高。いい邪悪。
 それにしても、最終回一話前のいきなり惨事のわりにそっちにあまり振れないで話の面白さとかカタルシスに向けて進み、でも最後にうわあああ、する辺りが美しすぎます。立ち読みした時はその落差に唖然、ついでに次が最終回という事で愕然としたのを、今でもよく覚えています。感想を書くのも、この部分がある為にどうしたもんか、とか考えてたら月日が流れすぎだよ! その月日のおかげで、今読んだら、最終回前がだいぶ心に去来する物があるのが良く分かりました。ああ、十世ちゃんがー。とかなんとか。立ち読みの時は愕然の方が強かったからな……。その分、最終回の嬉しさもひとしおでした。ああ、十世ちゃん……。
 良かった。これが鈴城芹の漫画で良かったッッッッ。巻末描き下ろし漫画も更に良かったです。でも、それらを踏まえて裏表紙を見ると、ああ、本当に終わったんだ、と得体の知れない奇妙な寂寞感を味わいます。早潮家の生活は連綿と続いていくんだろうけれど、ここでいったんお別れなのだ、と。こんなに去来するものがあるなんて、わしはこの漫画、好きだったんだなあ。
 キャラ的な話をすると、瓜生さんは個人的には桜子さん、桜さんについでいいなあ、この娘さんいいなあ、と思ったんですが、出番それほどなかったね……。でもそれ以上に、これで桜子さんとお別れなんてー! という思いが強いです。正直に言うと。でも、最終回後の話でも幸せそうだったので、それでいいんだ、と思うようになりました。色々あっても、皆どこか幸せ。そんな漫画があっても良いんだ。そんな漫画のキャラを好きになっても良いんだ。勝手にその後を折を見て考えて、ああ、と思ってもいいんだ。そんな気がする。
 とかなんとか。とにかく、いい漫画でした。コミックマスターJ顔で、「いい漫画です」って言いたいくらい、いい漫画でした。読ませてくれて、本当にありがとうございました。