感想 柴田燕ウ 『表色89X系 1』

表色89X系 ~GIRLS COLOR CHART~ (1) (まんがタイムKRコミックス)

表色89X系 ~GIRLS COLOR CHART~ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「女の子わんさかコメディ!」というよりは「きらら系!」って言った方がもう通りがいいのかもしれない、そんなくらいには「きらら系」であります。便利な言葉だよ「きらら系」って! と思わず叫びたくなる衝動に駆られますが、それはさておき。
 では、「きらら系」、という言葉から、この漫画が如何様にはみ出ているか、と言う話になると、それは女の子達の関係が、仲がいいけどベタベタとするのではなく、普通レベルの普通の付き合いである、という辺りにあると思います。「きらら系」というと、「ひだまりスケッチ」やら「けいおん!」やら「天然あるみにゅーむ!」やら「落花流水」のように、どうしても出るイメージ的に「百合、ベタベタヤンケー」みたいな柔らかい包まれ方の関係が先に立つものですが、これはそういうことはなく、非常に普通の付き合いであります。まあ、仲がいいのは間違いないんですが、好き好き大好きSSDというよりは単なる友達関係、居候関係を維持しているのが、まあ言ってしまえば特徴的です。あえて「きらら系」の中で一番近いのを探せば、「GA」辺りの仲良しさんレベルと言えましょう。あれよりは一線を引いてる所があるというか、あまり突っ込み過ぎない様にしてる節があるのですけれども。
 で、何故一線を、と言う話になるわけですが、それはまあ、主役の面々がわりと困った人達*1なので、お互いがあまり近づき過ぎないように、深入りしすぎないようにしてるんだろうなあ、と思えてきます。皆あんまりその辺が深刻ではなく、いやわりと深刻な気はするんだけど、軽いノリで軽くやり過ごして、あるいはやり過ごせてなくあるんだけれども。あくまでも普通の対応をしているのが、妙に印象的ですが、まあ友達だからってベタベタヤンケーまで行くのはそうないよな、と思わせてくれます。
 後、一応芸術系の話なはずなんですが、気が付いたらその辺全くなくなってたね……。「ひだまり」はたまに出るけどちゃんと出て、「GA」はその色の中にみんなの話があって、「表色」はみんなの話してたら芸術系あんまり関係なくなってる……。それが逆に個性になっているのか、没個性になっているのかは後世の判定に任せなくてはいけないでしょうが、ということで後世に丸投げ。
 見所。

続きはWebで……

 わりと見所と言って特筆する場所がない、がはははっ、ではなく、くすっ、というタイプである代わりに、だらーと、ちまちまと、ゆっくりと、だらーと読むのには大層適している漫画であるのが見所。日常積み重ねタイプにありがちな、一気読みによる胃もたれ感は、これもまた無縁とは言えません。用法用量を守って正しく一日一話。あるいは二話。

*1:葵さんは超能力レベルの方向音痴だし、山吹姉弟は性倒錯甚だしいし、紅葉さんは守銭奴且つ零間強すぎだし、雨音は黒いし、男子寮の面々は駄目男ばかりだし