感想 kodomo兎 『ねこにゆーり 1』

ねこにゆーり (1) (まんがタイムKRコミックス)

ねこにゆーり (1) (まんがタイムKRコミックス)

 どういう漫画であるか、というのはわりかし簡単な部類で、言ってしまえば「学生日常系4コマ、猫もあるよ!」なわけですが、ざっくり言うと当然あわい、玄妙さが失われるので具体的に話をすると、「ゆーり中心の日常と、ペット(主に猫)とのお話」、となります。あれ、こっちのが簡単だぞ?
 それはさておき、ここの部分をもう少し具体的に書いていくと、人間嫌いのゆーりが、スカイさん(猫)や幼馴染達(男の幼馴染は当然ゆーりにラブで、且つ近くて遠い)や恋のライバル(一応)やクラスの皆と、濃厚だったり微妙だったりな触れ合い方をしていくうちに、徐々に、というのが基本線として、皆が仲良くしていく様を、あるいはゆーりがスカイさん(猫)と戯れる中にくすり系の笑いが細かく入ってるのが、この漫画の形。基本的にぬるいと言っていい漫画ですが、だがそれがいい
 キャラ的な話をすると、最初ちょっと険があった桜沢さんが、読みきり分以降からどんどどんと健気っ子になっていく辺りがこの漫画の最大の肝、では全くないのですが、それでも三角関係って重要じゃん? って顔でしたりってみます。まあこの三角関係は、ゆーりがダブルあーちゃんのどちらともやたら遠いので「何このいびつな二等辺三角形」って感じであり、更に実際にはスカイさん(猫)との四角関係であったりしますが。四角だとトップがかなり近くて点に等しい変な台形ですが、そうなるとある種の美学を感じる域であります。なんでこんな芸術的な四角かというと、ゆーりの人間嫌いもあるんですが、あーちゃん(男)がゆーりへの恋心をそれほど発揮しきらないのと、あーちゃん(男)が子供の頃から女の子と距離が近いままで居たので、桜沢さんともわりと気安いふれあいをしてしまうのが原因なんですが、これが改善されたら、それはそれで見てみたいような。桜沢さんが読みきり分以降はかなり健気っ子なので、あーちゃん(男)がこれにころっ、と行ってしまうのではないか? と言う可能性もあるわけで、そうなったらゆーりはどうするんだろう。って辺りが見てみたい。なんとなく、この漫画の基本線にあってないような気がしますが、それはそれ。
 さておき。
 メイン四人(?)はそんな感じですが、他に特筆するとやはりセラとりんちゃんの話になるわけですよっスピス!(鼻息荒) どんどん変な癖が開発されていくいいんちょも天然物いんらんピンクもいいんですが、やはり奔放系いい子のセラは当然レベルで可愛いです。奔放系にありがちなアーパーさが少なく、ちゃんとした娘さんであります。進路の話辺りで色々考えて、でも道が分かれてもみんなと一緒って考えていいよね、みたいな話になっていたのがやはり個人的に印象的なのでしょうか。トラブルメーカー的な役割が、大体登場人物皆にある、というかゆーりのが問題を起こしてるような……だから、そういう方になりきってないのが、アーパーさを感じすぎない理由かもしれないとか考えてみたり。
 それはさておき、りんちゃんの話。
 と言っても、りんちゃんは姓が無い段階でメインキャラではないのは明白で、外見的には大変おとなしい糸目なんですが、それでもあふれ出る危険なエロスでこの漫画のエロ方面へのフリに大体絡んでくる、重要な役割。

おぼれてきた。
 …欲望の海に

私が飼ってるのはこの子

 つい、「淫獣」という言の葉が頭蓋骨内部を走り抜けたのは、言うまでも無いと思います。いいな、この糸目! だからもっと出番を! と思ったけど、それだと漫画がエロ方向に振れすぎてやばくなるか……。この子はフレーバーとしては極上だけど、単品だと色々厳しいよなあ。と納得してみる。
 さておき。
 好きな話はセラの進路の話や、いんらんピンクの人生相談など色々とあって目移りしますが、その中でもネコ女神さまの話過去と同現在がイイハナシダナー。過去の話のゆーり達が歳相応に可愛らしく、ゆーりの過去と現在の間に何かがって辺りもさりげなく、現在のゆーりさんの滅多に見せない笑顔がまぶしい。一巻ベストを、と言われたらやっぱりここだわー。良さが濃縮されてる。
 ということで、書いたり消したり書いたりしてたら大分長くなりましたが、個人的には「いい漫画です」ってコミックマスターJさん顔でしたりしてみたいくらい、程よいほのぼのと程よい笑いのある漫画なのでした。*1

*1:以下感想戦。自分の腑に落ちるまでやたら掛かったせいで、発売から時間が過ぎ去ってしまったけど、兵は拙速を尊ぶとかいうのはある種真実だけど、巧遅ってほど巧い文でもないけど、まあいいじゃん