感想 田口雅之 『ブラック・ジョーク 1、2』

ブラック・ジョーク 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

ブラック・ジョーク 1 (ヤングチャンピオンコミックス)

ブラック・ジョーク 2 (ヤングチャンピオンコミックス)

ブラック・ジョーク 2 (ヤングチャンピオンコミックス)

 大体の内容。「マフィアのお仕事!」。ちょっと可愛く言ってみましたが、実際は血なまぐさいオンリー。やられる方はたいがい死にますし。まあ、わりと話のつながり方が明快な方がほとんどで、話もばっとやって終了! というのがこれまたほとんど全部なのであんまりいわゆる鬱なことはない漫画に仕上がっております。題材が題材だけにやろうと思えば鬱に出来るけど、この明快さを維持しているんだろうなー、とは邪推できます。それがわりと作風的に当たっていると思えるのが、この漫画。
 1、2巻は基本的に、吉良(たらしの頭脳派)と小玉(やたら強い暴力担当)の二人をメインに話が短い話数の内容が連続するわけですが、なのに1巻目はラン・オーバー(車椅子のマフィアボス)とあかり(暗殺者で用心棒)の話の方が目立ち、2巻目は後半のコンビは目立つ所があるものの、前半はほとんどジョニー(吉良を目の敵にする馬鹿)が掻っ攫っていってるバランスとなっております。まあ、一、二話目で吉良も小玉も大体のキャラ付けは見れてるし、節々でちゃんとキャラとして立っているので、それで問題ないわけですけれども。
 話的にはランオーバーの過去話と現代での活躍が見られた『スピン』がかなり良い。2巻目だと三話続くジョニーの話が、全体的に緩急があってこれも良い。ジョニーはいいキャラなので、今後も見られたらいいのに。すぐ大怪我するけど。
 もうちょっと特筆すると、やっぱり田口漫画だなー、と感じさせる、別に超人設定があるわけでもないのにやたら無茶な描写なのは、この漫画にも健在。小玉とあかりのやたらな強さについては異様に無茶な描写だし、ランオーバーも普通の車椅子凄いことしてたし、一番凡俗っぽいジョニーもなんか異様な動きとジャンプしてたし、でとにかく基本画力とリアル系絵柄とはまったくかみ合わない超漫画的な所は田口漫画だあ、とやたらとうんうん頷かざるを得ません。うん、これこれ! と思えるかどういうことなの…と戦慄するかは、人によるでしょうが。
 総じてクライム系のかなり変わった味、と言わざるを得ませんが、それでもいい味ではある漫画です。