感想 沙村広明 『ハルシオン・ランチ 1』

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)

ハルシオン・ランチ 1 (アフタヌーンKC)

 大体の内容。「新ジャンル吐きっ娘」。あるいは「沙村先生は駄目男描かせると、いいよなー」。つまりそういう話。SFっぽいガジェットさんがわりと骨身に染みる感じで放りこまれてますが、やってることは貧乏ロードムービーというか、単なる無職のジリ貧生活という言葉のがしっくりきます。その辺のなんともいえない味わいも、沙村シュール(今命名)の成せる技ではないでしょうか。なにがでしょうかかよく分かってないですが。
 そんなわけで、全体的に異常に貧乏&泥臭いまま、話は停滞し、吐きっ娘の同類やらなにやらも出てくるわりにはやはり停滞し、この漫画、どこに行くのだろう……。とつぶやかざるを得ない、そんな展開をしております。正直、見所はそういうところではなく、もっとどうでもいい瑣末にある、という見方も可能で「初号機のマネをしながら八戸線の駅名を唱えるだけのわけのわからない存在」、「エグザイル・トーメント」などのワードや、一斉に銃口向ける面々の中で、明らかにカードを武器にしてる893の手下とかのどうでもいい辺りにどうしようもなく心惹かれると楽しいものの、じゃないと厳しいのでは、と思うこともある。そういう漫画です。神は細部ったって、神にだって、入りたくない細部くらい、ある……。ってキバヤシがいってた。