感想 沖田雅 『オオカミさんと○人間になりたいピノッキオ』

オオカミさんと○人間になりたいピノッキオ (電撃文庫)

オオカミさんと○人間になりたいピノッキオ (電撃文庫)

 内容を要約すると、「オオカミさんより 先に行き過ぎ 宇佐見さん」。ということで、今回はオオカミさんメインの話が一つ、紳士達の暑い初秋の話が一つ、『オオカミさん』史上最酷い話が一つ、反面教師と権力使いすぎるなよーな話が一つ。というバランスになっております。
 この中でもっとも見所というのをあげるとするなら、それはまあ全てなので、いつも通り徒然なるままに。

  • 紳士達の暑い初秋。(ピノキオ君登場)
    • 男の子が、つい女の子のしぐさに目が行ってしまう性を持っている、そしてそのしぐさに好きな女の子を見る、というのはもっと強く訴えていい気もしますが、あまり強く訴えると二股にまで話が援用出来るので気をつけなくてはなりません。
      • この辺の、少しのしぐさから好きな子を見るというのは、前に乙姫さんが語っていた五感を掌握する話とも近い話だったなあ、と最近再び読んだ辺りが思い起こされました。ぞっこんだと、そういう方向に行ってしまうのがラブコメの主人公だよね。
      • ぜぺっとさんが眼鏡っ娘巨乳、という事実だけでピノキオ君は勝ち組。オオカミさんがロンゲスレンダー貧乳ってだけで亮士君も勝ち組。甲乙つけがたいなっ!
  • オオカミさん史上最大の酷い話(ウサギとタヌキ)
    • まさか甘い甘い恋人期間なんてすっ飛ばしてやっちまうとは…。これがオオカミさん自身だったら沖田雅オオカミさんファンに悲しみの炎で黒焦げにされてるとこだ…。
    • 田貫さんはいいのか、お前乙女だろ! と思ったけど、田貫さんが自分でも驚くほど宇佐美さんのこと考えちゃってたので、それならそれで問題ない、と納得。
      • しかし、アリスさんと頭取さんもなし崩し酷いんじゃね? って言ってたのに、更に酷いなし崩しもあったもんだ。でも、これ以外の攻略ルートはない! って言われると、なんかまた納得してしまうものもあります。基本、相当仲のいい友達、って関係は崩しにくいし。
  • 親の七光りも大概にした方がいいという話(かぐや先生の話)
    • 暴力はより強い暴力、ではないですが、後ろ盾だと思ってらまったく違った、という月野さんマジ哀れです。オオカミさん内でも最酷い大人だけあって、やられることが地味に容赦ない。
    • そういえば、この話でオオカミさんの通ってる学校の先生、っていうのは確かお初だったり。授業風景とか、テストとか全く絡んでこない小説なので、先生自体がほぼ出てこないんですけれども、今回で2人も出ました。名前だけなら更に5人。結婚が基本の話だから、大人じゃないとねー。
      • 学生結婚、ってまだ高校生はちょっと生々しい…。
  • オオカミさん、子供達に普通の恋愛についてレクチャー(こびとの国)
    • 最初から読み直して今に至ると、本当にオオカミさんが亮士君に信頼を寄せているのが、そこかしこから見えてきて、これがツンデレの収穫期、デレ期! と思わざるを得ません。上から自分の恋愛について滔々と語ってるオオカミさん、なんて最初期から見れば誰なんだあんた一体…。って隔世の感です。
    • にしても、最後でガキどもからの株を大幅上げた亮士君ですが、これたぶんまた下がっていくんだろうなあ。と思わずにおれません。男モード常時なら、あるいは株の維持は出来るんだろうけど、それって何時の話よ。
      • と思ったらあとがきで…。予想というか、前にそういう話はあったから、ショックはそれほど、それほど、それほど…。