感想 平坂読 『ホーンテッド! 4』

 内容を要約すると、「ラブ!」。最終巻が凄いという話、後表紙とそれをめくった後の絵で警戒心全速前進してひやひやを持ちつつ読んでましたが、その破滅の予想とは軸足が全く違う所に着陸してくれて、まー。道中が『ホーンテッド!』味で苦い苦い、ひとまずの結末が苦い苦い、悠紀の過去が苦い苦い、と、その苦さというか妙味、ザッツゼロ年代を大層堪能していただけに、最後の捲り上げ方が予想GUY過ぎて「こ、こは何事…?」と混乱の巷にシュートインされてしまいました。伝奇的な部分を、真ヒロインを、こんな形で命は投げ捨てる物(キリッ した平坂読せんせの心中はいかばかりだったのだろうか。そんな事を思わざるを得ない俺たちの戦いはこれからだ! でした。とある偉人はこう言った…。《やりたいものは、やったもの勝ちである》と。その伝で行くと最後にやりたい事をわずかながらでもやり遂げれた、というのは素晴らしいことだったのかもしれません。された方としては、マイメロポカーン級の何がなんだかですが。
 それでいて、なんか妙に納得はさせられるんだから困る。とりあえずで言うと、最後の最後でこのシリーズがしていきたい事が確立できた、ように見えたのがたぶん納得させられた理由だとは思います。この4巻では悠紀のノリがしっくりくる内容、相手に恵まれて、悠紀がいる理由、僕はここに居ていいんだ的な立ち回りがしっくりきた形で、主人公格、一人称格としてやっとこさ、あのやりすぎですらあったまくり方をした1巻程ではないにしても、存在感をみせてくれました。正直うろついて災難に当たって、ついでに《猟奇委員長》にいいとこ全部持ってかれた2巻、戦闘面でも平常面でも居ても居なくても、だった3巻に比べたら本当に破格の待遇。そのおかげで、ラストも今までの事を思い出しつつ、それでも、という流れで美しい。これで3巻並の存在感だったら何言ってんだおまいで済まされてますからね。良くぞここまで……。