感想 島本和彦 『アオイホノオ 5』

アオイホノオ 5 (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ 5 (少年サンデーコミックススペシャル)

 大体の内容。「また一つ、自分の進む道が閉ざされる中、恐怖の自動車教習所編へと物語は突入する!」。ということで大体この巻中盤から自動車教習所編へと突入するわけですが、これが長い! 「読者の方々もイライラされているだろうが」、と前置きされるくらい長い! 端々で笑いの要素、ホノオの進む道への伏線、オタのどうのしようもない深読みなどなどが張り巡らされているにはいますが、それでも長い! 三度言うほど長い! もうちょっと端折るとか出来なかったのだろうか、あるいはこの先にカタルシスが存在するのだろうか。そんな遠い目をしてしまいます。たぶん、カタルシスも無く、なあなあで手に入るんだろうなあ……。(遠い目)
 とはいえ、ちょい昔の自動車教習所の持つ怖い印象は上手く描かれている、というか、自動車教習所に対しての一般的な印象そのままの頃のノリで、そういうのではない時代に自動車免許取った向きから見ると、見ていて新鮮なものがあるにはありました。そして、仲良くなった女子に追い抜かれる時の、どうしようもない絶望感。あれはきつい……。だから余計に長いと感じてしまうんですけれども。
 さておき。
 炎尾がくすぶり続けている隣で、庵野組は着実に名声に向けて移行しているのが、この巻が自動車教習所編だけでは終わらない唯一の部分。SFの世界が変わる、そんな息吹がこれから感じられるのかしら。という期待が持てますが、そうなったらホノオどうなっちゃうんだろう。嫉妬でこんがり燃え上がるんだろうか。それとも発奮するんだろうか。多分前者なんだろうなあ。それはそれで楽しいのがこの漫画だけど、いい加減雌伏の時から開放されたい、と思うのはせっかちなのか、当然の思いなのか。