感想 沖田雅 『オオカミさんと亮士君とたくさんの仲間たち』

オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち (電撃文庫)

オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち (電撃文庫)

 内容を要約すると「なんという分かりやすい大団円!」。その終わり方、イエスだね!
 という事で大筋の話はこの巻で終了の形と相成りました。正直に申しますと、中盤からこっち、ぶっちゃけ時間が掛かりすぎていた、のびのびとしていた、というかだらだらとしていた、という印象などを持ってはいるんですが、それもこのエンディングに向かっての溜めだったなら大丈夫だ、問題ない。長尺というのは、必要だから長尺なのです! それがいるから長く取るのです! その方が理解しやすいのです! だから亮士くんがおっぱいおっぱいしてたりするのも無駄じゃあ! …えと、無駄じゃあ。無駄じゃあ…。
 さておき。
 この巻は大体『オオカミさん』ファン向けの見所を、最終巻(後一冊あるけど)だけに振りまくってきた印象で正直全部見所なんですが、それでも大きい見所を三つほど上げると、

  1. 焦れに焦れて待っていたデートのお誘いに、つい勢いで返答が「おうよ!!」になってしまったオオカミさん
  2. 観覧車の中でデレて初キッスの後、放置プレイされるオオカミさん
  3. 亮士さんに一気に嘘の毛皮を剥がされ、一気に可愛い女の子状態になるオオカミさん

 となります。分かりやすい位にオオカミさん押しの巻、というのがこれで大体分かっていただけると思います。つまり『オオカミさん』がどういうライトノベルか、分かっているのか! という問いに分かっているわ! というドヤ顔で返す向きには大変おいしゅういただける巻となっております。流石最終巻(後一冊あるけど)!
 最終巻(後一冊あるけど)という事でこちらのキャラ語りもファイナルなわけなので嬉々としますが、今まで出てきた人たちがぽろぽろ出てくる辺り(それも都合二度)はこのライトノベルの面目躍如。キャラがバタバタするだけで楽しい、っていい事だなあと感じさせてくれます。正直キャラ多すぎて尺がむちゃくちゃだったような気もしますが、まあ、それはそれ。それこそ『オオカミさん』よ!
 というのはさておいて、そのファイナルに向かってのりんごさんのキャラの揺らぎ、は非常に良いものでした。オオカミさんが亮士くんに完全になびいてしまって、自分を省みられないわけじゃないんだけど、やっぱり百合百合な展開は無理龍だと気付いてしまってからブレブレになってしまってました。その辺がかわいそうでもあり、いつもやり込めてる方だからざまあでもあり、という非常に楽しい立ち居住まいで、これ後一冊の方でフォローしないとキャラ崩壊が酷くないですか? と老婆心発動してしまいます。ここまで実はオオカミさんべったりだったんだな、りんごさん…。
 最後にとにかくまとめると、『オオカミさん』、本当に楽しい時をありがとうございましたー!