感想 佐藤両々 『わさんぼん 1』

わさんぼん 1 (まんがタイムコミックス)

わさんぼん 1 (まんがタイムコミックス)

 大体の内容。「和菓子職人物語」。食べ物が絡む、所謂食系の漫画はありますが、基本そっちの系統ってのは漫画ナイズド、つまり濃い目あるいは無理目の味付けが多いものですが、これはそういう味には全く手を出さない、職人物としてストイックで渋い味で勝負の一品となっております。和菓子屋の修行時代という、ひたすら地味な所を、それでも楽しく流れが回るのは、主人公である草餅こと望月草太がひたすらアホの子である所にあります。熱意だけの直情バカではなく、口からぽろっと思った事が漏れまくり、東大モトクロス! とか言っちゃうアホの子。あまりにアホの子なのでこの子ちゃんとやっていけるのかしら、と不安になりますが、恐れるべき人にはぽろっとしない分別は持ち合わせているし、アホの子だけど情熱はきっちりあるからとなっております。
 ノリとしては基本的に和菓子の職人、という題材からして渋めに見えて結構コメディコメディしております。というか、草餅がその修行先の娘*1に運命感じてたりして、ついでに草餅が頭で考えるとすぐ口に出るタイプだから、そっちを阻止する桜屋の皆さんというか兄の萩君と軽いバタバタはあれど、これと言ってギャグで押したり、言葉遊びやバタバタで押したりしないので、本当に草餅のちょっとした行動だけで成り立っている、というのは\すげえ/。ゆえに濃い味が苦手な方向けとしても使えて、つまり広めに射程がある漫画ではなかろうか、と思いました。
 最後にどうでもいい話をするtこちらの記事で見て、「よさそう」と思い、手を出したのがこの漫画との馴れ初めとなりましたが、ファミリー系4コマは元から無い専門の更に専門外ですが、こういう味わいっていいな、とか。自分、4コマといったら電撃4コマかきらら系だけを摂取する4コマ偏食児童なので、最近のきらら味には慣れが生じていて予断を爆裂持ってしまってしまい、大体接し方がすぐに確定して、大体の場合その接し方でいい、ってのが多かったんですが、この漫画にはなかなかその見る姿勢が確定せず、それでも引っ張ってもらって読み方を身につけました。思った以上に素朴な味なんだけど、噛めば染み出る滋味が素晴らしい。こてこての萌え4コマの中にあるとすっごく爽やか存在というか。ファミリー4コマ、侮れないなあ、と思うのでありました。

*1:一応のヒロイン。皆にはぼっちゃんと呼ばれている。京女スキルは高校生ながら既にかなり高い。京女こええ。