感想 田口雅之 『ブラック・ジョーク 5』

ブラック・ジョーク 5 (ヤングチャンピオンコミックス)

　大体の内容。「吉良が来たりて事件解決」。今回はパワーの通用する相手より頭脳での荒事なもんで、パワー要員の小玉がほぼ出ない巻となっております。まあ、4巻で大活躍しまくったんだから、今回出なくても仕方ないか。
　さておき。
　今回は基本的に小話二つ、中篇が一つの構成で、どれも吉良メインと言える話になっていますが、小話1がよくあるネタだけどこうすると味わいがある、という話と魅せ方のテクが見れる回、小話2がアドミラル・ジョニーはホント使いやすいな！　というのが分かるコメディリリーフ回、となってここまではいいんですが、問題は中篇。
　吉良の名探偵編、と言うと今までの『ブラック・ジョーク』の作品トーンとは全く違う物を連想しそうですが、これがまあ、なんというか、結局その色になるのね！　と叫びたくなるバイオレンス展開で終わってしまうのでありました。まあ、その辺は最後に吉良が言ってるので、無理は承知でこの展開をしたんだろうとは理解出来るんです。出来るんですが。
　何がこうも引っかかるのか、あるいは引っかから無さ過ぎるのか、という読後の感想を持ったので、うんうん考えて気付いたんですが、そもなんで似非霊能者がこの話のキーマンの海斗の事や青柳家の揺れの事を知ってたのか、とかなんで青柳家に接触を図ったのか、とか色々端折ってるからなんですね。たぶん、こいつが、というのは分かるんですが、そこは明確には語られない。そこんとこは自分で理解しろよ。COOLにな。って事なんでしょうが、要は投げっぱなし。だからなんというか、読後感が変だったんだな、と。その辺は読む方も大人なんだから理解（略　という投げ方なのかなあ、と思って今気付きましたが、こういうのの最後に基本としてある犯人からの告白が無いから、霊能者サイドの行動が不明なんだな。その辺端折って最後大立ち回りで『ブラック・ジョーク』味にしてるから、変なんだ。なるほど、確かに本格ミステリー（笑い）*1だったわけか。なるほどなるほど。いやでもちょっとそれは投げ過ぎじゃないですか田口先生よー！

*1:括弧笑重要