感想 『けいおん! アンソロジーコミック VOL.4』

けいおん!アンソロジーコミック (4) (まんがタイムKRコミックス)

けいおん!アンソロジーコミック (4) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「アンソロジー!」そりゃそうだ。今回は連載終了から再びかー! したという事情があるから、というわけでもないですが、以前に連載終了して宙ぶらりん化していた2ページアンソロが今回無事収録されました。中でも茶菓山しん太『下級生』は2ページアンソロ時はやってくれた喃、茶菓山しん太! な出来でありましたが、今回無事8ページとなって一応の着地点を見せてくれました。2ページの段階では本気であずにゃんのキャラ崩壊が酷く、お前誰だよ誰でもねえよ状態でしたが、いやあ、これを見事に片付けてくれるとは。最後に見事に決めてくれる為、その崩壊もいいスパイスとして立ち上がってきます。そして、これが一発目な為、他のあずにゃん回な漫画が霞んで見えると言う副作用もあるほどです。出来ておる喃…茶菓山しん太…。
 そんなアウェー感漂う誌面の中、頭角を現しているのが、三つ。作者の空気感がそういう漫画じゃねえからこれ! と言ってしまわされる、そんな独特の空気が非常に心地よくすらある、博『ティータイムのない放課後』。ちびキャラという飛び道具を、しかし飛び道具として非常に可愛らしく愛らしく、上手く使ってきた、柚木ガオ『あずにゃんとフシギの唯センパイ。』。大したことじゃないけど、でも大したことなあずにゃんと唯の関係性に、メインキャラの個性を上手く足して纏め上げた完成度の高い、シバユウスケ『AZUSSAN☆』。どれも、作品と作家の個性が上手く合致した、幸せなアンソロだったと思います。
 とはいえ、作品に対してガチで破壊の手を伸ばすタイプが今回いなかった、というのは残念ではあります。その役を担うかと思われた道満晴明氏が思ったよりパワーを出し切れてなかった、というのがその印象を強くしています。まあ、かなりギリギリ狙ってるんですが、若干枠線からはみ出しきれなかったように見えました。まあ、比較対象が二巻のkashmir『だいにけいおんぶ』とかというのが問題かもしれませんけれども。うん、でももうちょっとはっちゃけられたんじゃないか、と思わずにはいられません。