感想 井上堅二 『バカとテストと召喚獣 9.5』

バカとテストと召喚獣9.5 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣9.5 (ファミ通文庫)

 内容を要約すると、「些事マジ楽しい」。短編集はストーリー的くびきから放たれた感じで、一回で終わるからこそ出来る味を試してるようにすら見える『バカテス』短編集であります。そんなわけなので、今回もメインストーリーに組み込むには、という短編向きのネタをぶっこんできており、特に明久と雄二の子供が現れる『僕と子供と召喚獣』は短編以外で使い道無いなこの設定、後、明久と雄二の子供、という単語だけ一人歩きするなこれ、とか思わせてくれます。と言うよりは、明久と雄二の子供、っていう言葉の為だけに存在する話ですよ、これ。明久とヒロインズとの子供が出てこない時点で絶対狙ってますよね…。そんなネタをぶっこんでくる井上せんせったら、もう、バカ。
 さておき。
 他の話ではあまり派手さの無い、ムッツリーニの家族構成が分かるのが重点程度であるムッツリーニ宅での話『僕と土屋家と揺れない心』や、今回の本編との下馬評すらある雄二話『俺と喧嘩と不思議なバカども』がありますが、中でも何も無いがゆえにある『僕と姫路さんとある日の昼下がり』がなんというか、バカテスとしては自然な一日で見ていて和みました。姫路さんの脅威を逸らしたり、何故か鉢合わせた雄二との死闘とかもありますが、全体からしたらフレーバーと言っていい含有量であり、最近腹黒化が懸念されていた姫路さんがカワイイなあ、と素直に思えるので良かったのではないかと思います。正直申しますと、姫路さんよりは美波のがヒロイン格としては高い位置に居ると思っているクランではありますが、それでも姫路さんにも頑張っていただきたいという心が無いわけではないので、今回の姫路さんは素直に良かったと思うんですよ。
 さておき。
 今回のテストネタはテストじゃなくて新聞から必要な情報を、という実習でした。実用性のある内容でしたがしかしこれはバカテスなので最終的に酷いことになります。その酷さ筆頭の須川君の歪み無さは凄いですね。ほぼ完全なモブなのにこんな所で存在感発揮して大丈夫なんでしょうか、彼。ネタが一周回って人気者と勘違いしそうです。この辺もバカテスクオリティであり、もう、バカ。