感想 ヤマザキマリ 『テルマエ・ロマエ 3』

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ III (ビームコミックス)

 大体の内容。「作る!作る!作る!ルシウス風呂作る!」。今回は前巻の引継ぎとして時の皇帝と昵懇になっているせいで命を狙われ、謀略に巻き込まれたりするルシウスですが、稀代の風呂作り馬鹿っぷりとタイムスリップ癖が幸いして、出先で盗賊に命を取られるどころか盗賊を使って温泉街を創設して更に名声を高らかにするという展開に。まだ風呂を新しくしてたり、色々なオプションを真似事で作ったりする辺りは時代の間隙に消えるから問題ないんだよ! と言われたら確かにその通りかもしれんのですが、流石に街一つ作ってしまうとそれも時代の間隙に消えたんだよ! では済まないのではないか? と思えてしまいます。だからいいのかそんな街作って、と老婆心がウッキウキに。どんどん無茶になっていくなあ、この漫画。流石に街作った以上のネタというのはなかなか難しそうだから、潮時は近いのかもしれないとも思いました。
 さておき。
 この巻でのトピックは先の街作りもそうですが、タイムスリップ後の現代で平たい族(日本人)の風呂技師と共闘して風呂作りをする所も、見所と言えましょう。言葉が通じない、なんて全くどうでもいい事。風呂を思う心と心があればいいのだ! という心の交流っぷりと、ルシウスが実際優れた風呂技師であるのを再確認出来るのが良い点だったと思います。毎度タイムスリップしたら裸で無様状態! そして日本の風呂技術に打ちのめされて無様状態! のルシウスの姿を毎度見ているせいでその辺をすっかり忘れ気味でしたが、ちゃんとした技術が無いとある程度とはいえコピーなんて出来ないし、名声だって出ないよなあ、と感じ入らせてくれました。でも、あの無様っぷりがこの漫画の肝でもあるんで、今後も無様っぷりを見せていただきたいと思います。