感想 沙村広明 『ハルシオン・ランチ 2』

ハルシオン・ランチ(2) <完> (アフタヌーンKC)

ハルシオン・ランチ(2) <完> (アフタヌーンKC)

 大体の内容。「なんか無闇に壮大なんだけどエンド!」そういやSFでしたね、この漫画。じゃなければどんな漫画だよ! と言われると、え? 駄目人間漫画じゃないの? って真顔で返答してしまいたいくらい、どんどんSFなんて端ですよ刺身の端! 後、嘔吐の余波だよ! ってな塩梅で人生のどん詰まりと嘔吐で彩られた感じな漫画だったと思います。これは作者側がSFっぽく無いようにだまくらかしたというより、普通に描いてたらなんかバランスがこうなった、という天性のあれ度が滲み出た結果のように、勝手に感じてしまいました。娘の話とか、チョウセンの話とか沙村ッシュ(5秒で考えた造語。沙村スタイリッシュの略)が効いていて実に沙村漫画だなーというか。コメディノリの中でもそれをガッツリ自分色を出してくる辺りは流石にベテラン漫画家であるという思いに囚われますが、その分今回は沙村コメディにあるいい感じの台詞回しが少なかった印象で、それはちょっとモッタイナイとか。その辺が読みたかったんだよ俺は! という困った客っぷりを発揮するぞこの野郎。←知るか
 さておき。
 しかし、最後に向かう辺りは先にも言ったようにそういやSFでしたね、って思わされる設定攻めを行われて、正直に申しますとそういうの読みたいわけじゃねーから! という気持ちが先に出たりしましたが、絶望的な戦いに挑む、というのはやっぱりSF者には堪えられないものがあるのだろうなあ、という感想も浮かんできて、そういうのを求めていた人にはやっとこ答えられたから嬉しかったんだろうなあ、とかも。最終的には色々無茶な設定だったのが色々上手く回って終わったという印象だったので、その辺が良く表されていたんだから、良かったんじゃないでしょうか。うん、正直個人的にはその終わり方より駄目人間生活をずんずん続けて欲しかったですよ。もうあれ以上はネタ的に厳しいとは分かっていてもね! まあ、ヒッピー村辺りは駄目人間話としては最高潮だったから、それで良しとしちゃるですよ!←何様調