感想 『けいおん! ストーリーアンソロジーコミックvol'2』

けいおん!ストーリーアンソロジーコミック (2) (まんがタイムKRコミックス)

けいおん!ストーリーアンソロジーコミック (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容ってダカラアンソロジーだっての! さておき。
 『けいおん!』ストーリー二冊目は高校編となりました。大学編の新キャラはほぼ晶ちゃん独演会という風情でしたが、こちらは既存キャラが少ないというハンデを補う為に加入となった奥田さんとか菫とか奥田さんとかが大変上手く機能していたと思います。出番も偏りなく、両方とも好まれているという印象を持ってみたり。後、奥田さん達がキャラ立ちさせられると、同時に既存キャラながら描写は今までそれほど多くなかった純と憂もキャラの掘り下げをする形となり、それが更に奥田さん達と対比を見せてついでに奥田さん達も立たせる、という良い循環として回転しております。この辺が基本四人で固まり過ぎてしまっている感のある大学編とは違う所であり、本編も同じ轍を踏んでると言うと流石に言い過ぎですが、それでもこの巻に収録されている漫画が綺麗にキャラ漫画として立ち上がっているのを見るに、それ程的外れではないのでは、という思いに囚われます。
 さておき。
 ストーリー漫画、という触れ込みであるこのアンソロジーですが、でも特に続く物があるという意味でのストーリー物は特になく、基本的にいつもの4コマアンソロジーとどう違うのかが全く分かり辛いというか分からないのが難点ではあります。4コマじゃないのも、普通のアンソロジーでは多々あったわけですし、そうでないのが今更取り立ててストーリーと言っていいのか疑問の余地はあります。でも、大学編の方に比べると無茶なのが無い分冒険心は低いですが、それは畢竟安定でもあるわけで、その安定の『けいおん!』味を嗜むという層にはいいアンソロジーなのかもなあ、と思ってみたり。破壊者チックな無茶な内容が無かったのは、それはまあ個人的には説無い所がありましたけれども。
 さておき。
 内容の方で好きなのは色々ありますが、ここは二つに絞ります。
 一つは作者の奥田さんラブが痛いほど分かる茶菓山しん太『奥田さんいじり』。集中力をテーマに、奥田さんこういうタイプだよね。奥田さんこういうタイプだよねっ! というキャラ属性捏造っぷりがいっそ清清しいレベルの物となっています。原作でそういうキャラ立てされた事今までねえから! と思うものの、でもなんとなくあの奥田さんならこういう側面があっても別におかしくは無いか、と思わずにいられない辺りが流石の仕事です。捏造するならとことんまでね! という訓示でしょうか。特にオチとかある漫画ではないですが、それがゆえに『けいおん!』アンソロジーとしてはいい具合だったとも思います。
 もう一つはハトポポコ『メッセージ』。地に足の付いただからどうした、という代物です。具体的には押すな!で押したい皆とでも駄目なんじゃないかと悩むあずにゃん、という構図でだからどうしたという話であります。そんなだからどうしたが何故いいかと言われると現段階ではいまいち判然としないと回答してしまいたい所です。しかし、その終わり方というか、何故押すな!だったかが判明した瞬間に本当にどうでもいいな、と思うと同時にあずにゃんのほんの少しながらの懊悩が勿体無かったな…。という気持ちになったり。ある意味不条理なオチだったのが良いと思った理由、なのかもしれません、書いてるとそうではないかと思ってしまいます。そういう意味ではさわちゃんは許されざるけど許せる!
 次はちゃんと出るのか、ストーリーアンソロジー。立ち消えにならなければいいんだけど…。