感想 内藤泰弘 『血界戦線 4』

血界戦線 4 ―拳客のエデン― (ジャンプコミックス)

血界戦線 4 ―拳客のエデン― (ジャンプコミックス)

 大体の内容。「すてごろ!」。そんなメイン話の一つである所の『拳客のエデン』は、あんな異形さん方大行進の世界にあってステゴロ最強を見たがる人達というのが大登場して、皆でクラウスを嵌めてその強さを見ると言うのが大体の話となっております。基本ステゴロのクラウスさんが如何に強いか、と言うのを積み重ねてそこから一気にシュッと締める展開は見事。これもまたマッチポンプと言いたいレベルですが、締め方があまりに締まっているので、初見ではそう感じないんだから流石の内藤節です。基本バカっぽい話ながらも、ちゃんと哀愁もかましてくるという隙の無さもこの回の魅力です。ステゴロ最強を目指し目指してしかし強く成り過ぎた者の悲哀、というのを詳しくは語らないさらっとしたモノながら、ながらなのに強く感じさせてくれます。異形であってもステゴロ最強を目指したのに、大きくハンデつけないと戦えない、か。
 もう一つメイン話は今度はサブキャラというか今まで居るのは居るけどその存在感が薄いものであった、クラウスさんの執事ギルベルドさん話。名前知ったの今回が最初な気がするくらい誰? 感のあるキャラの回がきたなあ、というのが最初の印象ですが、最終的にはギルベルドさん、とさん付けしないといけない感じに恐縮しきり。この漫画に出てくる人は大体敵に回すのが危険な人ですが、中でも特に怖いと思わせてくれる鬼気を感じたり。有言実行こえー。端的な強さ、つまり腕力話だった回の次が、精神的な強さ、あるいは色々な強さの象徴としてのギルベルドさんこえー。
 話の内容はきちんとこの漫画の世界観を新参を絡めて見せつつ、後半は一大化け物カーアクションという形でありました。高速で展開されるカーアクションをただぼけらー、と読んでいけば良いだけというのは大変脳に宜しいと言うか、なんだか良く分からんがとにかく凄い事になっている、と言う理解だけで漫画が進むというのは全く楽しい体験です。今まで漫画のアクションシーンで最高峰は『ジオブリーダーズ』の改造アーバート戦の所だといっていた私ですが、この回は匹敵するレベルだなあ、とか感じてみたり。つまり、すげえって事です。
 最後の閑話としてのK.Kさん話はもう一つの内藤節であるゆるさとK.Kさんの魅せ場ががっちりとかみ合って不思議な味わいでした。そういや、この人もメイン回無かったっけ、と思い出すくらいいつの間にか居たキャラではありますが、その魅せ場をちゃんと用意するというのは連載が出来ているっていいなあ、と変な感慨を抱くに十分です。こういう回で一回で済ませる手際と一回で済ませるのにこんな話かよ! という笑い所が兼ね備えられていると言うか。ああ、やっぱこの漫画好きだわー。
 とかなんとか。