感想 ヤマザキマリ 『テルマエ・ロマエ 4』

テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)

テルマエ・ロマエ IV (ビームコミックス)

 大体の内容。「ルシウスに訪れる(今んとこ)最長の試練!」。という事で、今回の『テルマエ・ロマエ』はルシウス温泉街物語の様相を呈していました。というか、次の巻に続きました。つまり、どういうことだってばよ! と思われる方もいるのでしょうから説明すると、今回もぬるりと現代日本にタイムスリップしてきたルシウス。しかし、スリップする前のルシウスは皇帝から大事な話をされていたのでありました。という事で急いで戻らねば! とエクストリーム入浴をしてみるも、気絶までしてもまるで帰還出来ず、焦る中で出会った温泉宿の人であるさつきさんに諭され、とりあえず温泉宿の仕事をして時が来るのを待とうという事になり、そして最後で馬が温泉宿に突入してきて次の巻、となります。最後おかしいですが間違った事は言ってないから困る。これどう落とし前つけるんだろうという気分になるには最高のラスト絵でしたよ。ホントこっからどう終わるんだよこのキャンペーン!
 さておき。
 冷静に考察するなら、いままでルシウスがタイムスリップした時と言うのは特に法則性があるわけではないですが、それでも色々困った事態に陥っている場合がほとんどで、且つ戻る時もそれが解決する糸口がルシウスに見えた時だったので、今回は全ローマ的な話を皇帝に振られてたので大分スケールが大きく、それを解決するには並大抵の気付き、糸口では駄目だ、という事なんだろうなあ、とか。その為のリサーチ場所として今回の温泉街があるんでしょうが、しかし色々気付くけどそう簡単に戻れなさそうな雰囲気、つまり温泉宿で色々取り持ってくれた女性、さつきさんになんとなく胸キュンだったり、そのさつきさん絡みでチャラい男がルシウスのいる温泉宿を、とかがあるので、その辺をどう解決しつつ戻るのかというのがキーになりそうです。そういうの丸投げで帰ったら読者側としては大ブーイングですので、その辺はマジどうなるのかなあ。とぼんやり口を開けて餌投入を待つ鯉みたいな心境でいようかと思います。
 さておき。
 今回のキーマンは上記のさつきさん。長期滞在の為の言語問題を解決する役、ルシウスとラブい事をする役、宿の問題の一部を担う役、と言うのを一身に受ける為、とにかく凄い人という事になってしまっております。ローマスキーが高じ過ぎてローマ研究を続ける(並大抵の教授以上の論文書いたり)傍ら、芸者もこなし、旅館で天才と呼ばれ、実際語学堪能、知識清明、才色兼備のマルチ過ぎる超人物として存在しております。この人いないとたぶんルシウスがこの現代でなんとか時間を作る事すら出来なかったろう事は想像に難くないですが、だからといってここまでローマオタという人物像を与えてしまって大丈夫なのだろうか、と変な老婆心すら顔を見せる位のキャラ立ちです。まあ、そういう意味では成功しているからいいのか。質実剛健が好き、という事なので次の巻辺りではチャラ夫とルシウスとでラブい話とかありそうで、そういう意味では所謂フ・クランとか大絶叫とかしそうだなー、と思いました。『テルマエ・ロマエ』に腐女子クラスタがあるのかは知りませんが。というか、次の巻でどう決着するのか大変楽しみです。ローマにどのような物をもたらすかも含めて。今回のルシウス最大驚きポイントのテレビとか、電気とかは、マジで組み込むと歴史大改ざんだからなあ…。
 最後に。今回もルシウスの無様っぷりは素晴らしかったです。特にエクストリーム入浴は必死さが伝わってくると同時に大の大人が風呂であれこれ考えて飛び込むという事実の無様さが素晴らしく、正直これを越える無様っぷりは見れないだろうと思ったらその後で足湯に横たわる絵の最無様っぷりが凄くてまだまだルシウスの無様伝説は続くんだなあ、と妙な感慨を得ました。でも、流石にこれ以上は…。いや、でも。