感想 山東ユカ 『ロボ娘のアーキテクチャ 1』

ロボ娘のアーキテクチャ  ? (バンブーコミックス)

ロボ娘のアーキテクチャ  ? (バンブーコミックス)

 大体の内容。「夢のロボ娘は意外と役に立たない」。まあ愛玩用というかおもちゃだったわけなので、役に立つは二の次だったんだろうけど、にしても9億突っ込んで生活防水程度って隙が多すぎるでしょうイチ姉…。というか、壊れやすい9億がウロウロするって心臓に悪い!
 さておき。
 そんなクォークがある生活、というのがこの漫画の基礎ですが、クォークは先にも書いたようにあまり役に立ちません。パワーも無く、機体の強度もそれ程でもなく、不器用で、それでいてよくあるロボ子としての人間とは違う論理感はきっちり持ち合わせているという使いにくさ爆裂四散っぷりがいっそ清清しいレベルです。これに9億…。という気持ちにもなりますが、普通に人間と相対出来るレベルのロボットが9億ならむしろ安いのか。とも考えてしまいます。実際、人間臭さまではいかなけど人間っぽいとは言える反応もあるので、これを9億で作れたってイチ姉すげえ、と思えはします。後、ちょっとバカっぽいのがいいですね。常識がインストールされてないだけだけど、でもそれが効能として表れているような。キャタピラーほしいよー。は確かに至言。バカっぽくて。そういうズレ感が、ロボだからで済ませるというのは上手い処理だなー、とかなんとか。リアルよりだけど実リアルではなく亜リアルだからこそ出せる味わいといいましょうか。がっちりマジSFロボではなく、すこしふしぎなロボだから、ぼかせる所はぼかせるのが、いいんだろうなあ、とかなんとか。
 ロボ子がある日常という事なので、そのロボ子を取り巻く環境も重要です。そこはきっちりと作中で凡庸凡庸普通普通言われまくるなゆたをメインに、クォーク作った天才イチ姉がクォークと共に場を引っ掻き回すのが基本で、大体突飛なイチ姉とクォークになゆたが困る漫画、と言えましょう。山東ユカ漫画は『ヒミツの保健室』以来、ひみほけにーだった以来なのですが、困った人が普通の人を困らせつつ、普通の人がきっちり場を制す場合もある、という基本原則は変わってないので、読んでて懐かしい気分になりましたよ。そんなわけで非常識代表のイチ姉とノー常識代表のクォークの行動を見て、ああこいつらムチャだなあ、って思っていたり。特にイチ姉の非常識っぷりはこれで仕事良く出来てたな、と思わされる事しきりでしたが、上司と同僚が上手くコントロールしてた、と言うのが開陳されて、上司マジ辣腕だなー、と感心したり。マジ駄目人間なイチ姉をあれだけコントロールして、しかもイチ姉が仕事止めたと思ってたら実はちゃんと在籍のままにしてたりとか、普通なら見捨てるレベルの所業でもきっちり受け止めるというのは凄いなあ、大人だな、とか。世の中上手く回るもんなんだよ、って事でしょうか。出てくるクォークに関わる大人全員眼帯してるのが謎ですが。眼帯!? 眼帯ナンデ!?