感想 キタハマンZ 『赤箱。』

 大体の内容。「地獄のリアル低レベルプレイ!」。この『赤箱。』はどういう漫画なのかと言うのをまず最初に申しますと、今は昔なようで色々存在するゲームジャンル、ダンジョンRPGをリアルっぽく仕立てた漫画、といえましょう。リアルと言ってもガチTRPGだった『放課後プレイR』とはリアル路線の趣は異なり、リアルファンタジー世界でのリアルダンジョンRPG、と言った方がしっくりくる、そんなガチRPGものとなっております。ガチなので、ダンジョン内で使える武器や魔法が限定されていたりしますし、そもメインパーソナリティーの一人、ファイターがレベル1でしかも倉庫キャラだった。なので地味です。魔法の高レベルの使ったらダンジョン崩壊か周りにいる人も死滅するかの二者択一なので使えない段階で地味です。単行本裏の4コマのオチでもそうだと言ってるレベルで地味です。地味なのです!
 それなら地味なりにまったりプレイなのかというと、上で書いてあるように、リアル低レベルプレイです。最初にいきなり迷宮のどこかに迷い込む形になったので、戻る事も出来ないままダンジョンの深奥に向かっていきます。ダンジョンRPGのお約束として、宿に泊まらないとレベルアップしない仕様なので、ファイターはいくら闘ってもレベル1です。なのでわりとファイターが何時死んでもおかしくない感じだったりします。レベルドレインで即ロスとですからね。しかし全体的にギャグ調で、ファイター以外の面子が結構高レベルなのでそこまでハラハラ感は無い風味。
 さておき。
 そんな珍道中(ファイターは命が危(ヤバ)い!けど)は山あり谷あり。前衛が足りなくて(他の面子はローグ、プリエステス、メイジ。見事に全員後衛)困ってたら忍者へのクラスチェンジが手に入って、とか、ファイターがGOODからEVILに属性が変化して大変、とか、超強い敵に対して魔法の真髄が見られたり、とか、ファイターがモンスターに見初められて、とか。まさしく珍道中。本人達はわりと命がけなんですが、見てる方ははっはっは、こやつらめ。という安全圏にいるからこその高笑いが出来る。そんな漫画となっております。命がけの相手を見るのは最高にハイってやつだ!
 さておき。
 キャラ的な話をすると、薄幸だけどその原因は大体己にあるローグとか、HP1だけどムッキムキの頭脳派メイジとかも濃いのですが、一番濃いのはやはりプリエステス。通称プリさん。さん付けしないとまずいんじゃないかというくらいキャラが濃く、聖職者なのにファイターに回復して欲しければ犬の真似しろとか言い出したり、「神め、言う事聞けよ」とか無茶な発言しだしたり、囲んでメイス殴る! とかのたまったりと、アンタ本当に聖職者なんですか? という不審を抱かせるキャラとなっております。実際、邪をはじくバリアフィールドを出した時にぽろっと外に弾き飛ばされたりしており、その属性とはなんなんだろうと思わされます。しかし、パーティーのまとめ役としてはきっちり機能する(恐怖政治する)キャラでもあり、いないとまとまらない辺りがこのパーティーの業というものが如実に出ている感があります。頑張れ、プリさん!
 さておき。
 単行本なので描き下ろしがあるのが世の常ですが、この巻においてはダンジョン内でのレベルドレイン系モンスターの食事問題が主でした。どういうリアルだよ…。とか思わされますが、最終的な流れは納得出来るような、でも、それ自家中毒ですよね! とも思えるような、どうとも言い難い終わり方で、ああ、モンスターも大変なのね…。と声優さんとか中の人に対する憐憫みたいなのが出てきました。他にもキタハマン名義で電撃4コマに載ったやつも収録されていたりして、しかもそれもリアルに考えたら…。な内容で、併せてキタハマンの作風を知るには良い物だと思います。しかし、キタハマンZとは、一体何者なんだ…。絵柄が超似てる北浜勇介せんせとの関係性は…。
 とかなんとか。