『まんがタイムきららミラク』2012年8月号 感想

今号の巻頭漫画感想

はりかも『夜森の国のソラニ

 夜森、風邪をひく、の巻。夜森の体調と、夜の森とが連動している、という話がなかなか不思議。やっぱりというか当然というか、とにかく特別なんだな、夜森。
 そんな夜森から分かりにくいながらも色んな表情をソラニは本当にいい子なんじゃのう…。今回の夜森を諭す所なんかは、あなたがお母さんか、ってレベルでしたが。いや、あれだけ怒ったり持ち上げたり、って飴鞭連打する辺り只者じゃないですよ、ソラニ。それだけ夜森の事が大事だから、という事でここにキマシ塔を建てよう。建てましょう! そしてどてら重装備の夜森を祭り上げましょう!←落ち着け
 さておき。
 ソラニが来て、夜森にかまうようになってから、赤衣さん達にも微妙な変化があった、というのも特筆点。どうせ他人でどうにもならないんだから、かまうものじゃない。そう言っていた赤衣さんが夜森の為にせっせこてるてる坊主を作る、というのはなんか堪らないモノがありました。いいなあ、こういう関係。そしてポリス帽の赤衣さんもいいなあ、こういうコスプレ。毎度衣装変化は出来ないけど、帽子ぐらいなら! という気迫を見た思いです。いいぞもっとやれー。

個別チェック三連撃

川井マコト幸腹グラフィティ

 ひょんな事(予備校休み)で一人で週末を過ごす事になったリョウさんが、更にひょんな事から祖母の秘密を知る話。
 秘密、と言っても実は祖母が料理下手で、リョウさんの為に料理の修業をしていた、という程度ですが、でもそれで自分も愛情を込めて料理した事あったっけ? と思って料理を作る事にするというイイハナシダナー力は滋味であると言えましょう。基本的に女の子がご飯作ったり食べたりするのに無駄に力が入ったのがこの作品ですが、そこにイイハナシダナー力を加味する事で最強に見えます。
 勿論、食べる部分に対する力の入り様は今回もミラクルパワーでして、今回は冷やし中華とコンビニご飯というB級感溢れるものでしたが、それを描写する様はいつも通りであり、それをエロそうじゃねえ美味そうに食べていく様を見ると、やはり猛烈に腹が減る仕様となっておりました。その余った冷やし中華を俺によこせー! と思ったりもしましたが、でも、夕食用って付箋を貼り付けてある芸コマさに、そうか、夕食ならしょうがないな! とか思ってみたりも。こういう所への気配りもあって、ホント前の連載が続かなかったのは残念だけど、でも今これが描けているならそれはそれでよかったんじゃないか。とかなんとか。

シロウ『プリ魔ドンナ! -現在魔王進行中-』

 アイドルしようぜ、アイドルをよお! という事になったサリーちゃん達魔王様御一行。そこに謎の勇者の超強い妹(美幼女)が!(謎全部言ってます)
 という事で、バタバタとした展開で勇者妹合流みたいな流れとなりました。合流するはずではなかったというか、魔王撃退が、そしてその手持ちの飴の強奪が目的だったのに、飴一個貰ったらもう恭順というなんてお手軽な子なの!? というのに驚愕をさせられます。しかし、それでもパルフィさん並かそれ以上に強いんだからこの世界狂ってる!! とやっぱり驚愕しきり。パルフィさんかなり強い設定だったのに、ここで変な性癖植わってしまって、今後はさとみと一緒に鼻血出す鼻血キャラとしてその天命を全うしそうで可哀想だ…。鼻血キャラは強い力が働いてサブキャラになってしまうものなのに…。
 にしても、この漫画はどこへ到着するのだろうか。というのが見えるんだけどゆえに見えないという形なのが大変老婆心を刺激してくれます。魔王として世界征服するのが基本的な立脚点なのに、アイドルじゃあ征服には…。という辺りが中々難しい題材のような気もします。短期ゲストなのでとりあえずそういうのを見せるだけ、仄めかすだけだろ、と言われればそうだろうとは思うんですが、ガチペドいこの漫画がきららミラクでどのようにスパークするかも見たいなあ、とも思ったりも。まあ、無いか。←酷い達観

奄美アマミ『Lisa Step!』

 給料日。それは社会人のテンションが爆上がりするイベント。と言う事で給料入る。どうする? という回。皆さんの金銭感覚が如実に出た回でもありました。葵せんせの将来?そんな先の事は分からない。な、宵越しの金は持たない江戸っ子気質がかっこいいと思っていたのか? 社会人としてはそれはあきまへんわな…。でも、金があると使いたくなるのは人間の基礎心理なので、それを無理に抑圧しない葵せんせはある意味では正しく、ある意味では駄目な人であるなあ、とか。でもまあ、自分の働きで得た金だから、好きに使えばいいのよ! 一番正しい使い方は千鶴先生みたいな、目的の為に貯める事であるのは論を待ちませんがね!
 さておき。今回はいつもあったへちょい感じの絵が更にパワーアップして、テラへちょい絵なリサ先生が見れたのが良かったかと思います。力を抜いて、でも可愛く、という見事なバランスのへちょさで、うわあ、この漫画こんな可愛かったっけ? と惑乱する位に可愛かったです。ああ、可愛かったなあ。

今号のご新規さん

春日歩城下町のダンデライオン

 ゲスト上がりの新連載、それが『城下町のダンデライオン』ですが、今回は兄弟姉妹の中から茜さんではなく、今までスポットの当たらなかった岬さんがメイン。というか、兄弟姉妹全員出す程回数重ねてないので、前二回の主役であった茜さんがメインパーソナリティにならなかったのはある意味当然と言えましょう。兄弟姉妹全員が主役なわけですし。
 さておき。今回は岬さんの特殊能力と、それに対する鬱屈、そして兄弟愛とキャラ紹介回としてかなり立っていたものがある回であったと思います。特に特殊能力でいきなり7人の分身が出せるという無茶さを、外面の快活と内面の鬱屈を絡めて綺麗に纏め上げれていた、と思いました。7人全員のキャラを立て切る所までは行かなかったのは至極当然と言えますが、それでもこれからで出来る事として立ち上がったのは大きかったなあ、と。それとは関係ないですが食いしん坊キャラは俺が貰ってかまいませんね!←本当に関係ない

今号の巻末漫画感想

あfろ『月曜日の空飛ぶオレンジ。』

 過去に戻ってしまったヨシノ兄の驚愕の人生とは! いつみても波乱万丈!
 ヨシノ兄が過去に戻ってもそれなりに生活し、それなりに色々していた、というのを聞いて、ヨシノが「ま、いっかー」となったのが大変嬉しかったです。変な縁になったけど、生きていたのがそれだけで嬉しい。そういう笑顔をしていたので、ああ、本当に良かったなあ、と。それに付随して、ツカポンが以前所有していた家でヨシノ兄のバイクを見つけた時も良かったです。落とし穴+バカめ。と悪辣な罠なんですが、そのバカめ。に、なんか愛情を感じずにはいられず、仄かに泣いてしまいました。愛、それは愛。これで、ヨシノも通常営業になるんだろうなあ。良かった良かった。
 さておき。
 地味に新キャラをメインに持ってくる為の助走に使われたのも、今回の特徴にして業前。今一どういうキャラクター性を持つ人なのか分からないままでしたが、それはおっつけやって行けばいいわけで、今はこの話に付随してキャラを自然に追加してきた事へワザマエ! というだけでいいと思います。思いますったら!

一応の総評

 今号の特徴をあげると、『Good night! Angel』と『メラン・コリー』の二つが無い、という今までに無かった事態が上がると思います。二つとも、創刊からここまでノー休みでやってきただけに、それが無いという事態はきららミラクの読後感に影響を与えたかと思います。個人的には『月曜日の空飛ぶオレンジ。』が素晴らしかったので終わりよければ全てよし判定でしたが、そうでない人は物足りなかったのでは、と推測されます。
 後、それに付随してゲストが多い号ともなりました。ただでさえ、『リリィ』、『おきまりラブ』、『福33三色バンチ』と無い方が多い号なのに、それに更にプラスでメインが少ないゆえに、ゲスト攻勢と言う形でフォローせざるを得なかった編集部の苦労はいかばかりか。でも、読者側はそんな事は知ったこっちゃないわけで、そのゲストがどうだったかで誌面を判断するわけですが、突発ゲストはこう、きららミラクっぽくなかったなあ、とか。悪くは無いけど、どこか違う。SNKG(そんな感じ)。とはいえ、きららミラクはちょっと不思議な話の方が許容されやすく、普通系統はむしろ珍しいだけに、そういう視点で見れば例えば『みかりんバイトデイズ』辺りはちょっと変な部分はあるけど結構普通な内容で、たまに見るなら、とは思いました。ずっと見るのは、その、もにょる。
 次回はメインほぼ全員揃う方の号なので、ゲスト少な目に展開してくれる事を期待したい所です。

今回の掲載順変動

 掲載順がどう変動したのかのメモを残しておきたいと思います。作品の並び順は便宜上、第一回を基礎にしています。

作品名 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 今号 位置±
リリィ 4 - 4 - 1 - -
桜Trick 3 3 10 2 5 5 ±0
純粋欲求系リビドル 2 1 2 3 4 2 +2
夜森の国のソラニ 10 2 1 6 7 1 +6
メラン・コリー 12 15 16 12 13 - -
Good night! Angel 1 4 5 1 2 - -
月曜日の空飛ぶオレンジ。 19 18 19 19 19 19 ±0
Lisa Step! 16 11 9 10 15 14 +1
おきまりラブ 18 - 18 - 18 - -
きしとおひめさま 8 13 14 - 8 15 -7
Seed - 17 - 18 - 18 ±0
スイート マジック シンドローム 15 5 11 14 3 4 -1
福33三色バンチ 13 - 17 - 16 - -
となりの魔法少女 6 - 8 - 14 - -
くじらジュブナイル 7 6 7 8 6 6 ±0
幸腹グラフィティ 9 7 6 5 10 3 +7
TEI OHー! 5 10 3 4 9 10 -1
城下町のダンデライオン - 8 - 7 - 7 ±0

ゲスト枠

作品名 3月号 4月号 5月号 6月号 7月号 今号 位置±
彼女は彼女だけど彼女じゃない 17 16 - 17 - - -
なりきりイミテーション - - 13 9 - 8 +1
8'sエレジー - - - 11 12 17 -5
もも色honey - - - 13 - 11 +2
けーたいろいど☆コミュニケーション - - - 15 - - -
わたしと姉は正反対 - - - - 11 13 -2
プリ魔ドンナ! - - - - 17 9 +8
みかりんバイトデイズ - - - - - 12
ゆめおいドミトリー - - - - - 16
終了枠
  • vol'5
    • 『前から2両目』『にじげんめのうた』『ルンルルコミュニケーション』『るーてぃんルーティン』『びぎなーず9』(全てvol'1から)
  • 2012年4月号
    • 『虹色教室』(2012年3月号からのゲスト)
  • 2012年5月号
    • 『そこにいず』(2012年3月号からのゲスト)
  • 2012年6月号
    • 『アイコト』(2012年4月号からのゲスト)

不明枠

  • vol'4
    • 『tune!』(vol'3から中断)