感想 島本和彦 『アオイホノオ 8』

アオイホノオ (8) (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ (8) (少年サンデーコミックススペシャル)

 大体の内容。「学校を描かずに学園漫画は出来るのか? 出来る! 出来るのだ!」。という事で、この巻になってようやく漫画を描く事に本腰を入れるホノオでしたが、最初の段階、学校の建物を描くという段階で弱気状態。どうなる! と思ったら原先生の漫画を見て、俺が思ったんだよ系酷い話が挿入され、描く事への勇気を手に入れるのでした。この辺が島本せんせの実体験実体感だったのか、伝聞なのかがあいまいな漫画なので、毎度攻めるなあ、とは思うんですが、でもこれ風評被害ですよねー!? という気持ちの方が募ります。その後にも学校の中が描きたくないよおー! 机とか描きたくないよおー!*1 という駄目さ満載の心の叫びを出しては、それを描かない方策に気付いて、これなら俺でも学園スポーツ恋愛物描ける! となるというパターナリズム全開でたまりません。でも、もう既に、そういう漫画だからこれ! という理解をしているので、むしろそういう駄目まった青春の猛りをぶちかましてそれをギャグ調にしてくれれば、いいよ…。と、諦念すらあったりも。今回のホノオの駄目悟りとか、俺の作家性は! とか最高でしたから、やっぱそういう路線で壁にぶち当たってきつい目に遭うといいよ!
 さておき。
 今回のハイライトは、ホノオが増長して俺は描く側! 発信する側! となる場面で間違いないでしょう。そうなる手前まではガンダムの劇場版を見れてないという事実に愕然として落ち込んでたりするんですが、それが出来なかったのは、俺が描いていたからだ! という点に気付き、それが肥大して俺はもう描く側なんだよ! となったホノオの姿はお笑いだったぜ。まだ市販どころか雑誌にも載ってなければ編集さんにも見せてない、という段階でここまで増長出来るというのはある意味重要なのかなあ、と思わせますが、でも、上記通りまだ見せても無い段階なので、こっから持ち込んで落とされて、というのを経験するとどうなるかなあ、という暗黒の興味も湧き出でてきます。実際、この段階の原稿を友達二人に見せて、片方からしっかりとしたツッコミを貰っているのに、もう片方の傷をなめ合う道化芝居だ!!な意見を聞いて生暖かくなっている辺り、マジ落とされたらどうなるんだろう、という気にさせてくれます。この漫画家になれるか否かは、ある意味この漫画の最重要ファクターなので、そこはじっくりして欲しいです。教習所編みたいなじっくりはいらないけどな!
 さておき。
 しかし、トン子さんのお部屋へのお誘い、ってどういう意図があるんだろうか。今まで微妙過ぎる雰囲気には何度かなってるけど、トン子さん側はそれほどホノオの事を真面目に考えてたようなそぶりは無かったのに、このお誘い。あるいは積み重ねてきたという事なのかとも思うものの、そういうフラグあった? という疑問にはあったっけ? としか返しようが無い辺り、謎行動過ぎる。一体、どういうカラクリがあるのか…。
 とかなんとか。

*1:地味に今回の表紙で教室内+机とか描いてるのが小憎たらしい。しかもちゃんと整列してるんじゃなくて、椅子がやや乱雑になってる辺りが更に。もう俺はこんなの出来るんだよハッハー!(前蹴り)って事でしょうか。