感想 杜康潤 『孔明のヨメ。 1』

孔明のヨメ。 (1) (まんがタイムコミックス)

孔明のヨメ。 (1) (まんがタイムコミックス)

 大体の内容。「孔明さんと月英さんの日常」。まだ孔明さん、勿論諸葛亮孔明、が仕官もせずに普通に生活していた頃から、このお話はスタートします。もっとも本当の最初は月英さんサイドからでしたし、どちらかと言うと題名の通りの孔明のヨメである月英さんが主体の漫画と言えましょう。どっちも時代的に遅めの結婚という事でどうなるか、と思ったら意外と馬が合って3日で夫婦となる事になったとは思えない仲の良さを見せ付けてくれる漫画、それが『孔明のヨメ』なのです!
 にしても、時代が時代だからというのもあるのかもしれませんが、いきなり3日後に結婚しろとか無茶ぶりだったにも関わらず、後半に行くにしたがってなんだか良い雰囲気になったりし出すんだから、馬が合う相手というのはあるんだなあ、とか。孔明さんが仕官しないで色々研究したりする研究家肌なので、工作とか設計とかが好きという時代的にかなり異端児の月英さんとは馬が合うのは至極当然なのかもしれませんが。
 そんな月英さんですが、三国時代的に良い女ではないですが、それが一周以上回った現代から見ると、こんな事を言うのは問題かもしれませんが大変萌え萌え出来るお人になっております。ちんちくりんで男装すると普通に若い書生にしか見えない、って今時なら全然好物なお人も多いでしょう。それで、工作とかは色々出来るが家事は全然、というパターナリズムなのに時代のおかげで一気に異端度が高まる。成る程巧みじゃねえの。と思わせるキャラ性であります。
 対する孔明さんも変人の部類だけど人となりやその思想は相当に良い人で、黄パパは見る目がある人だったんだな、と思わせてくれます。ここで孔明さんが実は酷い奴で嫁いで酷い話になっても困るし、そういう趣旨の漫画じゃねーから! と言われればそうですね。でも、孔明さん本当にいい人で、ちょっと世間とズレがあるにはあるけど、それは月英さんもだから、やっぱりお互い様な感じ。というか二人とも良い人だし突如の婚姻だったから、お互いを激しく求めるとか無くてまったり見れるのがいいです。これで双方がつがつだったら、と思うけど三国志上ではそういうのねえから! なんだろうな、やっぱり。月英さん関係とかあんまり知らなくて言ってますけど。
 さておき。
 話としては壊れた井戸を改修する辺りが月英さんと孔明さんの初の共同作業感があって、それが中々上手く行かないけど、じっくりとやっていくのが、この二人の関係を如実に出してたような。一旦出来たけど金出ねえよ! で却下され、しかしそれでも作ることを考えてぼんやりしていた月英さんを、気を落としてるのかな、研究費を削るかなあ、と気遣う孔明さん、というのがこの漫画での二人の立ち位置を示すかのようで、大変楽しかったです。人に出会って人は変わる、という当たり前の事かもしれませんが。