感想 湖西晶 『うしのこくまいる! 1』

 大体の内容「実際豊満な藁人形の精との同居生活! コワイ!」。まあ怖くは無いですが。
 もうちょっと真面目にどういう話かと言うのを書いていきますと、呪い代行をしている下地さん、今日もお仕事という事で丑の刻参りをしていたら、おめでとう! 一万人目だよ! という事で藁人形の精、丑ノ刻参をプレゼントされ、否応無しに同居生活していく形になって、既に居ついていた菊人形やらサゲマンの人やら参の妹やらと、女の子がしれっと出てきてどたりばたり、それが『うしのこくまいる!』なのです!
 それはともかく、湖西晶先生と言うと、皆様は何を思い起こすでしょうか。そう、下ネタなんだよ!(キバヤシ断言) という冗句が当然のように生まれる位、きらら誌で連載中の『かみさまのいうとおり!』は下ネタがベタ基礎*1ですが、この『うしのこくまいる!』ではそっち方向は少なめ。少ないというか少なめ。無いわけじゃない、決して無いわけじゃないぞ! マイリちゃんが釘を打たれて呪いを発動する*2時、絶頂調のあえぎを出したり、姉妹丼*3とか、ありますよ! とはいえ、『かみさまのいうとおり!』に比べればそれはメインではなく、味付け程度ではあります。
 では、この話のメインとは、というと結構ぶっ飛んでる設定なのに、意外な程泥臭い下地さんのお仕事がそれに当たります。そこでマイリちゃんをどう活用していくか、と言う展開だと思ったか? 甘ぇ! と言う位にわりとさっくりマイリちゃんを使っていきます。どこでも呪いを起動出来る、というのと、使うと呪い返しがある、というのがあるんですが、下地さんはわりあい気にせず序盤から使っていたり。この辺がテクニカルになりそうでさっくと行くのがいいですね。更に妹*4登場で一回は呪い返しが生まれないのでガンガンいけるぜ! となって、更にテクニカルさが見えない感じになったり。でも、たまにテクく、ノロイしか出来なかったマイリちゃんにマジナイ、しかもちょっと幸せに関わる事だった、というのでマイリちゃんが喜んだりしてた辺りは特にテクいです。こういうのをさらっと出来るんだからタツジン!
 さておき。
 湖西晶先生と言うと、実際の所本当に語られるべきはキャラ立ての巧みさであろうかと思います。『かみさまのいうとおり!』もまりあのシモネッタ方向と鼻血キャラは分かりやすい感じですが、それ以外の基本面子もファザコン所かマジ惚れ、ツッコミ気質の爆乳、超虚弱体質、と分かりやすいキャラがありますが、しかし、それだけで終わらないキャラ立ちになっているのは、皆さんもご存知のとおりだと思いますと言うかそういう事で話を進めますが、では『うしのこくまいる!』では?
 それは一瞬は突飛ながら基本は意外と平凡、という分かりやすさであります。マイリちゃんは一番突飛な藁人形の精ながら基本はいい子(巨乳)だし、お菊さんは呪いの人形ながらその出自は悲しみを背負っているし、捧ちゃんは皆にすごいサゲマンを連呼されるけど下地さんを好き好き大好きSSDの乙女だし、四谷ちゃんは姉と同じ様に突飛な設定だけど姉スキーで意外と不幸体質だし、と分かりやすい雰囲気を持っています。突飛な部分を生かすには、まず平凡さで蓋をすべし! という事ですね、分かります! しかし、そういう部分を見せるのは並大抵ではないと思いますよ。突飛な方に引っ張られるのを、見事に制御してストーリーラインを作り上げる様はまさしくタツジン! きらら誌で培った力を遠地で更に開花する湖西晶先生の漫画、それが『うしのこくまいる!』なのです!

*1:それ以外も当然しっかりありますが。

*2:藁人形の精なので、藁人形の能力がある。

*3:語弊。

*4:身代わり人形の精。