感想 森繁拓真 『となりの関くん 3』

 大体の内容。「関くん、遊ぶ。横井さん、突っ込む」。この漫画の特徴と言うととりあえず関くんがただ授業中に遊ぶだけ、横井さんがそれに対してリアクションするだけ、と言ってしまうと本当にそれだけの漫画なわけですが、それだけの中に如何に趣向を凝らすか、というサービス精神を見るのがこの漫画においては必須の視点ではないでしょうか。←たぶんいい過ぎ
 そんなわけで今回も関くんは遊びまくり、横井さんはリアクションしまくります。そこにあるのは果たしてなんなのでしょうか? 愛? 憎しみ? いえ、単に関くんが鬱陶しいだけです。しかし、鬱陶しいと思いつつも、その遊びの最大の観測者になっているのが横井さんであり、なんのかんのいいつつ楽しんでいたり干渉する時もあります。そういう意味において、二人は共犯関係とすら言えるのではないでしょうか。
 そんな適当な戯言はさておき。この巻でふるっていたのは三つ。横井さんがいない回、33時間目。雪回、35時間目。机の上の自動車教習所回、37時間目。
 横井さんいない回は、では誰が関くんの遊びを見るのだ? という疑問に、後藤さんがいるよ! という回答をしてきた回であります。でも、後藤さんが見ているのは関くんの遊びではなく、関くんと横井さんの関係性。前に勝手に恋人同士であると妄想していた後藤さんですが、今回は関くんの遊びに関くんの心の傷をみる、という良く分からない視点を持っていました。あれは自分を傷つけている! ってどこをどうとればとんとん相撲にそこまでの視点が入れられるのかと慄くばかりですが、我々オタとしてはそこまでの妄想が出来てないという時点で後藤さんに対して敗北したような気すらしてきました。後藤さん、出来る!
 雪回は、雪降った後で行われる関くんの暴虐から、雪兎を救わんとする横井さんの奮闘が見れる回。あまり面と向かって敵対行動すると隣の席だけに気まずくなる、という配慮をする横井さんが実際奥ゆかしい回でもありますが、だからってマフラー巻いて誰か分からないようにして敵対とか、友達からマフラーを借りてマフラー偽装するとか、配慮? って感じもあったり。そうまでして助けた雪兎は横井さんプレスで雪の塊になっている辺りは哀愁すらありました。
 机の上の自動車教習所回は、関くんの机の上で展開されるラジコンによる実技テスト、という良く考えなくても何やってんだよが極まった回。教習所鉄の掟をしっかり守り、失敗しても一日一回しかしないとか、クリアしたら免許発行だとか、こだわりが半端ではない辺りが関くんの遊びに掛ける力を感じさせてくれますが、でもそれ授業中にする事じゃないですよねー! といつも思う事も思ったり。
 他の回も漏れなく関くんのイマジネーションと横井さんのツッコミが冴え渡りますが、ある意味同じパターンなので慣れてくると物足りなくなったりもします。でも、遊びを考え付ける辺りは本当に凄い過ぎる!コワイ!と思うので、限界まで行って見て欲しいと思ったりもするのでした。