感想 みずしな孝之 『いとしのムーコ 2』

いとしのムーコ(2) (イブニングKC)

いとしのムーコ(2) (イブニングKC)

 大体の内容。「今日もあんまり変わらずなムーコなのでした。」基本的にこの漫画は、ムーコが賢いような馬鹿なような行動をするのを見る、という物なので、人物がチラチラ増えてきたけど特に波乱なく進んでいく今巻も、ああやっぱりムーコは馬鹿で賢いなあ、という印象ばかりが積み重なるのでありました。
 特にそれが出ていたのが年末回の除夜の鐘を勘違いする場面と初夢、除雪車をかっこいいと思っての行動、それに四季の移り変わりを感じる回でしょうか。
 除夜の鐘については、読者側にも具体的にここ年末、というのを見せないので、恥ずかしながらワタクシ、最初意味が分からなかったんですが、再読したら、ああ、大晦日から元旦に掛けてなのね、と理解出来たり。最初は本当にムーコと同じ様になんだこの音! とか思ってましたよ、ええ…。まあ、ムーコみたいに何かが襲ってくる前兆、とまでは思いませんでしたが。ここでのムーコの使命感はかこいいように見えて基本勘違いだから馬鹿だなあ、って思えて微笑ましいです。こういう所では、微妙に頭がいいのが分かってる分、余計に馬鹿だなあって思えました。
 初夢はちょっと凄いというか、夢を理解してるのが賢いなあ、と。普通の動物も確か夢は見るって話ですが、体が大きくなってしまった! っていう変な夢を見る、というのもムーコが賢い証左と言えましょう。オチも酷いのもまた凄い。というか、うしこうさん……。この夢の理不尽さとオチが渾然一体としていて、わりと凄い夢だなこれ、とかなんとか。
 除雪車の真似をする所も賢さが出ている場所です。でも、ぱっと見では雪に首突っ込んでるだけなので、そりゃコマツさんも特に意識しないわ。あれで、ムーコの出来る除雪車の真似の最大限だったりするみたいですけども。こういうかっこいいという価値観を理解出来る辺りがムーコの賢さで、それをどうやっても再現出来ない事に気付かないのがムーコの馬鹿さだったり。そういう意味では、ムーコの良さがしっかり出てると言えましょう。
 ムーコの四季の感じ方も、賢さと馬鹿さが絶妙にマッチしている所です。基本的に温度ではそれ程感じず、息の白さとか土の匂いとかで感じる辺りが動物っぽい感性だなあ、と。風邪の時もそうですが、大体勘で感じてる感じが、動物だなー、というか。でも、四季を理解出来る、冬や春だと感じられるのは、やっぱり賢い。こういう所がかわいいんだなあ、ムーコ。
 とかなんとか。