感想 わだぺん。 『℃りけい。 4』

℃りけい。 4 (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)

℃りけい。 4 (ヤングジャンプコミックス・ウルトラ)

 大体の内容。「東京!」。今回は渋く決める地学部のおかげで、サイクラメンバー全員が東京に行ける事になり、その旅情を描く巻となったと思っているのか? まあ行くのが東京、しかも安宿旅なので旅情というか旅行って感じで、科学部の面々が仲良いなあ、というのが明らかさまになる巻だった、と言う方が収まりはいいでしょう。一番旅情感があったのが、彩さんの先行しての空港堪能、という辺りで、色々察していただきたい。あそこの普通なら旅情なんて微塵もの部分での旅情、というのはなんか凄い物を見たという気にすらさせられます。勘違いに違いないですが、なんだか堪能している彩さんが可愛かったので、それもまた良しとしたいと思います。←明確な彩ファンの戯言
 さておき。
 先入りした彩さんがはしゃぎ過ぎてたせいで宿に着いたら体調不良! 一緒に観光出来ない! どうする! と思ったら軽く飯屋でも探してやるべ、ってなったのが、ああこの子達は仲いいんだなあ、って場面でありました。その後、一生物の付き合いだろう、という彩さんも相まって、人の仲と言うものに対して、なんだかこういうのもいいなあ、とか思ってしまったりも。ドライのようだけど、ちゃんと分かってるから出来るドライ、というのが、美しく見えました。
 そんなちょっといい話とは趣は違ってちょっと考える話だったのは、科学部のOGとの邂逅。科学好きで、研究者もしてるけど、でもこの先自分が科学の進展に貢献出来るのか、あるいは新しい発見を出来るのか。そういう外野からするとあまり考えた事の無かった話を出されて、おおう…。となったり。そう言う事考えちゃうと、そりゃが目先に食いついてしまう人も出るわなあ、とも。確実に利が得られるなら、科学の徒としての矜持も、かなぐり捨ててしまう事もあるんだろうなあ、とかなんとか、勝手に考えたりも。ある意味、この漫画の先とは? という事案にも影響する話で、思ったより続いてるこの漫画が、変な意味で楽しみになってしまったりも。終わり方、って考えてるのかなあ。
 さておき。
 そういう話をしておきつつ、秋葉原で豪遊する話とかもあるのがこの漫画。そこに馬鹿っぽさと郷愁を交える辺りのテクっぽさ、あるいはカオリンが順調に染まってしまってるのを提示する親切さ、はたまた谷崎先生の駄目さを提示する底意地の悪さ。そういうのが渾然一体となって実にキャラ物としての味が出ていたかと思います。と言うか谷崎先生がこんな可哀想な人になるとは…。いい人だけどさあ…。
 一方で真理さん達サイドの話も細かくあったりしますが、こっちの方が旅情、というかサイクラ的旅情って感じでした。科学博物館で銭湯めいてリラックスする真理さん達は、たぶん真理ファンマストではないかと思います。女の子がまったりするのが美しいとする価値観に幸あれ!
 なわけで、色々な話を盛り込みつつ、サイクラらしい旅となったのがこの巻でありました。これだけ飛び道具使ってしまって、今後はどうなるんだろう、とか思ったりするんですが、まあ、今回の振れ幅見れば大丈夫だろう。そんな考えも持てる巻だったかと思います。