感想 島本和彦 『アオイホノオ 9』

アオイホノオ (9) (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ (9) (少年サンデーコミックススペシャル)

 大体の内容「色々が変わっていく二年生!」二回生でなく二年生になった辺りが順調と言うべきなのか、順当過ぎるというべきなのか、それは見た人の気持ち次第でしょう。矢野健せんせが1年生で四回生であった、という事実を持ってくると更にこの辺りの見方が混乱してきますが、矢野健せんせは例外というか除外ですよね、普通。ある意味のガチとしての例であって、普遍的に出来る話じゃないですし。
 さておき。
 二年生になり、ホノオの周りも少しずつ変わっていきます。その最たるのが完成させて送った漫画に対してのSA社からのレスポンス。そこでホノオはストーリー物描いて送ってこないか? と言われるんですが、んなの出来ないからギャグ送ったんだろうが! というぶっちゃけはゲラゲラ。16ページギャグは実際駄目だ! って言われるのも合わせて楽しく読めました。
 しかし、個人的にはもっとぶっ壊される展開になるかと思ったんですよ。有頂天で留まる事を知らない状態から、一気に叩き潰されるんじゃあ、とか。それが意外と軟着陸した*1のは、一応ストーリー漫画描いてみないか? が浮揚効果を持っていたからでしょう。それと、そこ手塚賞じゃねか! という新たな苦悩が始まったので、わりとそれ所でもないという事なのかもしれません。もっと酷い苦しみを見れると、思ったのになあ。←性格が悪い
 一方、未来のがイナックス組は順調に世の中に出て行こうという企みを実行していきます。スキルに人海戦術が組み合わさり始めた今、大きなうねりがこのまま起きていく、そういう胎動が見えてきて、それを見たホノオがどういう反応、どういう凹みを見せるのか。それがどんどん楽しみになります。この漫画の楽しみ方は、基本ホノオの超反応なので、それを求めるのは間違っていないと思うんですが卿らはどうか。
 さておき。
 今回登場した円グラフで作品を語るシークエンスは大変楽しかったですが、相変わらず多方面に喧嘩売ってる感じで大丈夫なのかと。ホノオの勝手に思ってることだから! 俺が思ったわけじゃないから! 俺が描いてるけど! という島本せんせの心の叫びがよく聞こえるいいシークエンスではありましたが、原秀則せんせにはちょっと謝ろうか…。将来性という便利な言葉が我々の切り札かよ! んなわけねーから! そんなの気の迷いだから!
 そういう思いに囚われ過ぎて、ゲラゲラ笑うしかなかったのでありました。ホノオの漫画に対するネタの広範囲さは凄いですけどもね!

*1:漫画映像としては派手に沈没したけど、もっと酷い事になると思ってた