感想 FBC 『スイーツどんぶり』1巻

スイーツどんぶり (1) (まんがタイムKRコミックス)

スイーツどんぶり (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「光鍋料理部の輝かしい栄光の軌跡!」初っ端から重複表現するくらいには、自分でも何言ってるのか分かりません。そんな分かりやすいようで良く分からないようでな女子料理部漫画、それが『スイーツどんぶり』なのです!
 などと言ってお為ごかしするのもなんなのでちょっと内容の話をすると、光鍋料理部の面々が、世界の食を握ろうとする組織と、相対する! という話に何故かなりました。そんな漫画です。何故かなったという表現はヘンテコに思われるかもしれませんが、実際問題そこまでにお笑い用語でいう所のフリが全く一切無く、唐突にそういう方向へ方針転換したので、何故かとしか言いようが無かったりします。この突如の方針転換についてはこの単行本のあとがき漫画に言及があり、曰く「皆もうそんなテンプレじみた萌え4コマは飽きてるんじゃないか」。その結果が料理バトル漫画めいて実は何かがおかしい方向性だよ! というか、我々(勝手な全体化)としてもそりゃあ、凡百の萌え4コマに対して思う所は当然ありますし、次代が見たいという気持ちも当然ありますが、だからと言って食組織との戦いとかCP(クッキングポイント)とか人の出汁とか、テンションの振れ方がおかしいだろ! そこまで追い詰めた覚えも無いんですが、それでも俺達(勝手な全体化)のせいで…、という悔恨の念を抱かずにはいられません。
 それでも序盤6話目まではちょっと毛色と絵柄の濃い漫画だなー女の子可愛いなー、程度であり、料理部漫画としては毛色と絵柄が濃いなー女の子可愛いなー、程度であり、でも節々に感じる少年漫画臭と妙に濃い絵柄とエロスめいたものになんだか普通の事ではない。と言う風には見えました。2話3話の流れとかも小気味良く、個人的には好きだなー、とか思っていたりします。それが覆るのが7話。そして決定的になるのが11話です。順を追って見ていきましょう。
 7話は光鍋料理部面々が中華料理を食べに行って、いきなり強制労働させられて、そして料理勝負してしまう話です。更に食で世界を統べんとする“LIFE”という組織について知る事になる回でもあります。ここが盛大に方向転換した最初の話。中華料理を食べに行って強制労働、って無銭飲食でもしたの? と思われましょうが、実際の所はそういう事は一切無く、無茶苦茶とも言える理由で捕まり、いきなり強制労働です。この話のボス格と戦う為のお膳立てではあるんですが、法規的におかしい展開過ぎて一瞬ファッ…!? ってパニックになるくらい無茶苦茶な回だったり。結末も無茶で、次の話でフォロー入れて話を整理しないといけなかったくらいだから相当です。そのフォローで更に混乱に拍車が掛かりますが、それはそれ。とでも言わないとやっていけません。
 11話は脅してくるようになった“LIFE”の構成員に料理を食べさせて、屈服させる回。テレビの番組に出て、叩きのめす訳ですが、ここに先ほどさらっと書いたCP、クッキングポイントという概念が突如ぶち込まれます。これは具体的な説明が全く無いまま進むので憶測するしかないんですが、とりあえず料理の心を揺らす度合いとして存在するようです。構成員にはその料理のCPが分かり、それを食べると自分のCHP(クッキングヒットポイント)が削られる、という良く分からないんだけど迫力だけで押される何かが展開されます。CHPが無くなるとどうなるかって? 発狂します。というのは冗談ですがあながち冗談でもなく、構成員はあまりの美味しさに前後不覚になっていました。それがテレビで大放映されるという事によって、構成員は敗北する形に。しかし、これからが“LIFE”との真の戦いの始まりだ! てなわけで、13話は本格的“LIFE”構成員と戦う形になって行きます。これが今後も続くのか、それとも方針が転換されるのかは今の所全く不明ですが、とりあえずただ事ではないのだけははっきりしているかと思います。
 さておき。
 口直しにキャラ的な話をすると、この漫画の最初の駆動系だった柿崎志保子、通称ジャッカルが最高に可愛いんですが構いませんね! という勢いだけの言葉が出るくらい、ジャッカルが可愛いので困ります。あまりに可愛いのでジャッカル主体感想を<http://d.hatena.ne.jp/hanhans/20030703/p3>書いてしまっていたりするくらい好きであります。ただ、漫画が料理バトル主体になっている状況下で、料理全く出来ない所か青色の目玉焼きを作ってしまうレベルのジャッカルの存在感と言うのは大変希薄になりかけていて、それがちょっと悲しかったり。一応、それでも出番はあるんですが、序盤の2話の青色目玉焼きによる百人切りのインパクト程は無いのが残念です。これから出番がちゃんと出るのか、それとも影が薄くなっていくのか。漫画の方の変転と合わせて、そういう所も注視したい漫画であります。これ以上どこに行くのか分からんがな!