感想 庄司二号 『TEI OH-!』1巻

TEI OHー!  (1) (まんがタイムKRコミックス)

TEI OHー! (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「目指せ、学園の帝王!」と言う事で、学園のトップ、天辺を目指す葵さん達女の子のお話、それが『TEI OH-!』なのです! そのわりには生徒会を目指す訳ではなく、帝王部という部活を作られている辺りが良く分からないですが、これには何か深い訳があるのかも知れず、いや無いかも知れず、という微妙な枠線の中にいる漫画なのも『TEI OH-!』なのです! この辺の線引きの不明さはまんがタイムきららミラク最初のゲストという立場上の物かもしれません。女の子が、たくさんいて、インパクトを! という要請によるタイプの歪みなのか、それともあるけどまだ描けてないだけというタイプの歪みなのか、その辺は分かりませんが、確実になにかしらの歪みがあるんじゃねえかとも思います。とはいえ、ミラク誌は他のきらら系列では収まらない規格の漫画が基本である為、歪んでいるのはむしろ当然でもありまして、それは問題にするに至らないとも思います。
 戯言はさておき。
 この漫画がどういう漫画かという話をすると、部活女子漫画というくくりに入れれるでしょう。もっと言えば、女の子わんさかコメディです。帝王部のノリはどう考えても男が居ておかしくない、というか帝王なんて男子の持ち物じゃなかったのか、とか思うんですが、そこを女の子の園にしてしまうと言うのが、10年代の漫画として分かりやすいかと思います。しかし、ノリは個性豊かな面々に葵さんが突っ込んでいくという90年代的ストロングスタイル。この絶妙な古さというのが、この漫画の特色として挙げられるかと思います。基本、妙なる古さを感じる漫画なのです。それは単行本のカラー部分で90年代的な所謂全選手入場をする辺りに、そして表紙が00年代的な白地に女の子事案であるも表れております。これがきらら4コマ最先端、もっと自由に4コマをであるミラクにあるという倒錯感は中々のものであります。時は未来に進むと、誰が決めたんだ。はターンAターンですが、これはもうちょっと言うと、もしかすると部活女子漫画としての『けいおん!』の食べていた天下餅がまだ残っている!というエクスキューズなんじゃねえのか、とすら思えてきます。『けいおん!』は、後腐れなく終わりましたが、以後のきらら4コマはそのエッセンスをどうするか、あるいは新たなエッセンスを出そうと言う方向性に向かっているはずであり、皆様もそう思っておられると思います。しかし『TEI OH-!』は、そうではなく、まだ『けいおん!』は食える、というのを証明しようとすらしているのではないか、と勝手な事を考えてしまうくらい、その位置から微動だにしてない雰囲気が、『TEI OH-!』にはあるような気がします。気のせいでしょうがね!
 冗談はさておき。
 キャラ的な話をすると、毎月で読んでいた時は個人的に結構混乱がありました。特に腹黒女王桜子さんと残念なライバルスミレの違いが頭の中で熟成しておらず、なんでスミレが帝王部にいるの? みたいな混乱が頻繁にありました。しかしそういうキャラに対して、先に書いた全選手入場がかなり奏功して、今ではちゃんと桜子さんとスミレの差が分かるようになったり。今思うとどうしてここまで混乱していたのか、って感じです。髪の感じ以外は結構似てるんだよなあ…。というのは全く個人的な事でありますが、本当に混乱していたんですよ。それが是正されただけでも、カラーの価値はあったかと思います。
 後、琴音さんが良いキャラしているというか、こういう漫画には一人はいる変態キャラで味わい深いです。この巻の終盤で所謂第四の壁をするっと越えたりしてる辺りもいい感じに。というか、第四の壁を越えるキャラは大体変な人気が出るものですが、琴音さんもそれに違わない感じであります。こんな変態が越えてくるって怖い気もしますがね! そういう不穏当さも含めて、良いキャラしてると思ったり。
 とかなんとか。