せがわまさき 『十 〜忍法魔界転生〜』1巻

十 ~忍法魔界転生~(1) (ヤンマガKCスペシャル)

十 ~忍法魔界転生~(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 大体の内容。「それは、忍法魔界転生!」この巻では、あちこちで魔界転生がおきまくるだけ、というほぼ前情報状態でしかないのにやたら昂るが面白いですね。何が始まるんです? という積み重ねの段階で無茶で面白いという、流石に名の知れた原作の力というのは恐ろしい。それを十二分に発揮するせがわまさき先生の技量も当然恐ろしい。そんな引っ張り力過剰な漫画、それが『十 〜忍法魔界転生〜』なのです!
 さておき。どういう内容かという話をちらっとだけすると、忍法魔界転生で、様々な剣豪が、復活する! 以上です。その目的は? とか、そもそもそれに対して戦うのは誰? と言う話になるわけですが、この巻ではそこは全く明かされない、本当に助走の巻であります。一応、ちょっとだけは事前情報として知っている部分があるので、今後の展開は分からないわけじゃないですが、にしたってこれからどうしちゃうの? どう絡んでくるの? という興味が尽きない所です。女性を孕まして、そして復活する忍法魔界転生。人を魔人として生まれ変わらせるそれの、その行き着く先とは? って書いた方が分かりよいでしょうか。それだけの疾駆要員で、様々な悲運や思惑が渦巻いていて、ここまで魅せられると、そりゃ流石って言いたくもなります。早いとこ続刊を! あるいは原作読んじまうか!? そんなじれったさでもあったりもしますが。
 さておき。
 しかし、あまり知り過ぎるとこの漫画が最大限に楽しめないかも、と言う事で原作読んでなかったりしますが、あるいは読んだ方が楽しめたのかも、とも。魔人となった者の妙な行動とか、原作通りなのか、せがわ先生が勝手に妄想して作った物なのかとか、知れたら楽しいんだろうなあ、とか思ってしまいます。例えば、魔界転生した田宮坊太郎が無造作に木の杖をがっつく辺りとか、確かに普通の人間じゃなくなってるんだ描写として卓抜したものでありまして、それが原作にあったのか無かったのかで、せがわまさき先生の卓抜さなのか山田風太郎先生の卓抜なのかが分かるんですが、どっちなんだろう。ぐぐってみようか。そんな事を思わせるのもまた、原作持ちゆえの楽しみ方かも、とかなんとか。