感想 まご 『ともだちマグネット』1巻

ともだちマグネット 1 (バンブーコミックス WIN SELECTION)

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 大体の内容「オタ女子が、ギャル女子と、友達に!?」ギャル女子、なつきさんの妙な押しに、オタ女子の真琴さんがたじたじする。そしてぎくしゃくながら友達になっていく。その様を描いた漫画。それが『ともだちマグネット』なのです!
 にしたって、オタとギャルは水と油、犬猿じゃね? という見方はオタ男子なら当然湧いてくる疑問でありますが、その辺は非常に面白く処理されております。なんと、ギャル女子のなつきさんがなんのてらいもなくオタ女子である真琴さんに友達ノリで攻め込むのです! その攻めは苛烈、というか普通にいつも通りの行動なので苛烈とか言うレベルじゃなく、まるで友達であるのが当然の呈であります。そこがギャルノリというものなの!? と真琴さんが大変困惑しつつ、その距離感にじわじわと慣れていく、ようでやっぱり慣れない! というのが1巻の段階。離れているようでくっついているようで、そういうのがカチカチ変わるというのが、確かに『ともだちマグネット』であるなあ、とか思ったりもします。この巻では一度疎遠になりかける波乱もありますが、そこは雨降って地固まるの諺がしっくりくる、でもなんだか良かったなあ、と胸を撫で下ろせる形になっていたり。どっちも、相手の事を考えてしまい過ぎて、と言う感じで疎遠だったので、余計にそう思いました。兄の存在がちょっと問題だったけど、そのおかげでもあるので、とにかく良かった良かったですよ。
 そんな感じで、なつきさんの強引を越えた平素のノリという強引過ぎる押しが目に付くんですが、なぜ真琴さんに? というのはちゃんとこの巻で開示されます。過去にあったある一件で、真琴さんの事を有り難く思ったがゆえに、なつきさんは真琴さんと仲良くなりたい、となったのですが、そこにはギャル世界のノリの暗黒面というものがあったり。こういうのを見ると、ギャル女子怖いわー、とか思ってしまいます。そこできっちりだけど思いっきりずれた発言をした真琴さん。オタとしては好きな作品を変に腐されるの我慢出来ぬぅ!なのは理解出来るから、余計にずれてるのが理解出来るんですが、それでもなつきさんには有り難かった発言であった、というのは、なんだかとってもいい話。そうだよね、なんでも勝手に取り違えるものだけど、何が救いになるかなんてその人次第だよなあ。とか思ったりも。
 さておき。
 にしても、真琴さんもなつきさんもキャラが立っているという奴で、基本的に真琴さんはあんまり攻撃的性格の無い穏当なインドアオタとして、オタ読者からするとお前は俺かであります。ギャル女子なつきさんに対する相対の仕方や、ギャルの気持ちや仕草が分からずおろおろする辺りも、我々オタの気持ちとアクセルシンクロォ!する、大変いい視点キャラとして立ち上がっています。真琴さんがいるから、読んでいる我々は同じ様に戸惑えるし、混乱出来るわけですよ。対してなつきさんは曰く不可解。だから、混乱させられるんですが、それでもたまにその内実に触れると、ああ、この子ええこや……。となってくる。真琴さんの事を考えて、方法は強引過ぎるけど動いているのが、分かってくると、この二人の仲が良いものになってもらいたいと思ってしまいます。まあ、まだしばらくはギャルノリに困惑するんでしょうけど。
 とかなんとか。