感想 秀河憲伸 『今日のユイコさん』2巻

今日のユイコさん(2) (アフタヌーンKC)

今日のユイコさん(2) (アフタヌーンKC)

 大体の内容。「実は甘甘な二人の関係」。壁! 壁早よ! お前に足りないもの、それは! 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりもーッ!! 壁が足りない! と言うくらいに壁殴り必須漫画、それが『今日のユイコさん』なのです! 1巻の段階でも壁ッ! 殴らずにはいられないッ!! という大変なツン甘漫画でしたが、今回もその基本筋は忽せにせず、しかし少しずつ進んで行ってる様を見せ付けられ、つまり壁が足りない! という状況に叩き込まれる漫画となっております。実際に壁があったとしたら、衝撃を与え過ぎた為に崩れ去るのも致し方ないレベルで精神的壁殴りしてましたよ……。そういう漫画だからこれ!
 さておき。
 今回もユイコさんの内心を明確に書くのを極力避け、行動と言葉と表情の表現だけで甘甘ラブラブな所を魅せるという基本は全く揺るぎません。何を思って言い、何を感じて動くかは、読者のリテラシーに任されております。基本的にはツンの強いユイコさん。しかし、いやだからこそ、トモヤの事を思って動くと途端に可愛らしくなる。ツンが強いからこそ、デレ、あるいは甘甘が、落差により光り輝く! それが何度繰り返されても、ユイコさん可愛いなあ、おい! という受け取りが出来る。そんな漫画であります。そういうのは全く簡単ではない、かなり漫画読みリテラシーに頼っているという考え方も出来ますが、試してくれて構わないのよ? という体たらくになれば、これほど美味しい漫画も中々無いわけで、この流れから秀河屋! という掛け声も自然と生まれてくるというものです。今回はプール回でトモヤだけに見せたい、という意志の元で水着姿を見せる所が最ッ高だぜ! チームサティスファクションの復活だ!(バーン!)でした。あなただけに見せたい、というこのラブラブ感! そしてそれを、擬似的に俺らも見るというこの倒錯感! たまんねえ!
 さておき。
 ユイコさんの内心を極力書かない漫画ですが、しかしその例外があるのも、この巻の特徴。それがその14「魔法なんて信じないわ!!」。この回では、トモヤの居ない所でユイコさんが、という体であります。これは内心を書かないとどうしようもないという理解をした方が宜しいかと思いますが、その珍しい内心描写が、もう、乙女だなー、と。えさ係の人に言われたジンクスを求めて、馬に突っかかるユイコさんったら。動物苦手なのに、というのがその前の回で出されており、それでもそのジンクスは得たい、というのがクローズアップされて大変可愛いったらないです。その内心、思った以上に今まで直接的に語られないけど、こうじゃないか。と思わされたののベースから離れない、というのも理解されるから大変素晴らしい。ちゃんと今までの延長線上、そういう娘さんなんだ、って分かるんだから。いやあ、やるなあ。
 とかなんとか。