逢空万太 『這いよれ!ニャル子さん』4巻

這いよれ! ニャル子さん 4 (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん 4 (GA文庫)

 大体の内容「ゲハでやれ」。ストーリーラインについてはまさしくそんな感じ、SNKGでありますが、実際に社員だとゲハでやる訳にもいかないからハス太とルーヒー大変だなー。と猛烈の棒読みをしてしまう。それがニャル子さん4巻目なのです。
 いつも通り、「ストーリーライン? あんな悪人何故庇う!」という橘さん面でしれっとしているニャル子さん4巻ですが、どんどんどれが伏線だったか分かるかな? という謎の挑みすら発動し始めており、徐々にストーリーラインがあれなのを超越、あるいは第4の壁に殴りかかり始めた感があります。その証拠に、頼子さんが言うムスコニウムが存在する? 宇宙人いるんだからあるいはありえるんじゃね? というアトモスフィアをしつつ、それ違いますから残念ー! フゥーハハハハ! とオカリン笑いのマンタせんせが見られる(幻視)のですよ。マンタせんせは何と戦っているのか。あるいは俺達は何と戦わされているのか。戦わなければ生き残れない! という地平とは全く違う位相にいるというのに、何で戦わないといけないんだよ……。これがサヴァイブ感……。という気持ちにさせられる事しきりです。
 さておき。
 今回は実はキャラ増加回という側面の方が強いと思います。前巻の引きからの真尋さんの母、頼子さんから、色々偶然が重なって真尋さんに惚れてしまうハス太、そして色々遭って一番割り食ったルーヒーと、その後にも存分に出てくる面子がこぞっております。頼子さんは今回のキーであるし、更に謎スキルで邪神も狩れるよ! 血筋だね真尋さん! というある意味凶悪な後付設定をしれっと追加する豪腕ですし、ハス太はまた惚れられたよ! やったね真尋さん! という事でモーション掛ける様は小動物可愛いけど実際ホモォ……だし、ルーヒーは単に運が無い人アトモスフィアで最後にちょっとトンだのもしょうがない感じだし、と色とりどりでありました。特にハス太はパワーバランスが拮抗しているニャル子とクー子の間に、あるいは居ぬ間に入った一種の緩衝材として、あるいはスパイスとして、非常に効いている感じ。案外堅固にガチガチだったニャル子とクー子が、変な崩れを見せるんだから、何が奏功するか分からんと言えましょう。でも、ホモォ……であるわけで、中々恐ろしい片鱗かもしれないなあ、となんとなく怖気震うのでありました。
 さておき。
 この小説を読むに辺り、一番大事なのは、ニャル子さんに耐えられるかどうか、という事であるなあ、という気がします。ある意味最大の駆動系で、この世界の中心ニャル子さんという雰囲気すらありますから、その水が合わないと全く駄目であろうなあ、というのを、感じたりも。とはいえ、巻も4巻にもなると、真尋さんがニャル子に対してだが断るし続ける強度が上がっている、インフレしているので、ニャル子に不憫可愛いという気持ちも目覚めるようになってきます。これは、ここまで耐えたご褒美か!? という面が出来るようになった、というのは逆に言うと調教されてしまった、という事かもしれませんが、耐える価値は、いやまああんま無いかもしれない(弱気)。