感想 高尾じんぐ 『くーねるまるた』1巻

くーねるまるた 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

くーねるまるた 1 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

 大体の内容「貧乏マルタさんの食いしん坊記」。この漫画をどういう漫画かと定義する所から始めますと、食物カテゴリーの作って食べる系列、その自作自食目になるかと思います。『花のズボラ飯』方面(女性主役である点も含めて)、そう言うとイマドキは通りがいいでしょう。そしてそのカテゴライズから更に細かく入りますと、貧乏飯という部類に入ります。食料費が非常に少ない物、あるいはもらい物で食事していくというスタイルです。しかし、貧乏だからって美味しい物が食えないと思ったか? 甘ぇ! と言う事で、出来る範囲で楽しく美味しくご飯を作っていく。そういう漫画であります。スローライフという言葉が、我々の切り札。そんなほっこり感満載な漫画、それが『くーねるまるた』なのです。
 さておき。
 そういうわけで、基本的に安くご飯を作っていく漫画ですが、だからと言って作る方向に傾倒し過ぎている事は無く、それも混ぜつつ、マルタさん(ポルトガル人。女性。食いしん坊。ないすばでー)が日本の日常を堪能していく漫画でもあります。全体的にページ数少なめですが、それゆえに一回一回のテンポがいいのも特徴。無駄なページが無いから無駄に出来ない! タイト! という感じでもありますが、長々とするよりそっちの方がさっくり読めて楽しめるので、意外と向いているんだろうか、とか思います。作者さん食っていく大変そうに感じたりもしますがね!
 脱線はさておき。
 とりあえず、マルタさんは食いしん坊で可愛いです。帰りの電車賃をついつい食うのに使ってしまってヒッチハイクとか、味のしゅんだオイルサーディン求めて彷徨ったりとか、干し鱈が到着して踊りだしたりとか、チャーシューメンが食えないから自作の煮豚を店のラーメンにこっそり乗せたりとか。とにかくまずマルタさんがどんな場面でもチャーミングですヨネ。そんなマルタさんが貧乏飯で舌鼓を打ったり、日本の貧乏暮らしを満喫したりする。それだけの内容ですが、それが大変心地よい。たぶん、“今”を満喫しているというモノに、何かしら心惹かれるモノが、私にはあったからかもしれません。楽じゃないけど、楽しい。そんな雰囲気をマルタさんからはしっかり受信出来る漫画である。そう言いきって問題無いでしょう。広告にあった、「お隣さんにほしい女の子、みつけました」は正鵠です。こんなお隣さんだったら、欲を持て余すだろうなあ……。そんなマルタさんが楽しく生活する漫画。それも『くーねるまるた』なのです。