感想 わだぺん。 『℃りけい』5巻

℃りけい。 5 (ヤングジャンプコミックス)

℃りけい。 5 (ヤングジャンプコミックス)

 大体の内容「イベントが無い期間って暇だよね」。とはいえ、サイクラが暇じゃないイベント期間なんてそんなに無いっぺれえので、つまり基本的に毎日暇なんだよ! という事実が揺ぎ無く提示される。それが『℃りけい』5巻なのです! 特に何も無い毎日が繰り広げられるのですが大丈夫なのか。イベントらしいイベントはもう出し尽くしてしまったようでもあるわけですが、それでこれから先やっていけるのでしょうか。という弱り顔を一瞬見せつつ、すぐにそういう毎日こそ大事だよね! という鞍替えぶっぱするくらいにはそういうの大好物なクラスタなので、そういう意味では大安心の巻となった感があります。
 とはいえ、この巻における物理部の暇さ加減は少々常軌を逸しているというか、本当に暇なんだね……。という側面がやはり強いのは否めません。特に意味も無くインクレディブルマシーン、というかピタゴラスイッチの方が通りはいいですが、の大規模版に着手して、でも最終的に電力の良さを理解したり、特に意味も無く彩さんの自慢の妹のテレビ出演の為に地デジアンテナ自作してたと思ったらパラボラにしてぇ!と思ったらBCAS対応してないですよねー!だったり、特に意味も無くリサさんの父が水きり(川面に石投げるあれですね)のプロだと聞いて対抗心で水きりの研究しだしてガチ研究になったり、特に意味も無く蘭さん自作ゲーで顔トリミングして遊んでたら真理さんがラスボスとして君臨したり、あげくの果てには特に意味も無く剣道部の見学に行ってカーボン製の竹刀にテンション上がったりと、まさに暇の縦横無尽。しかし、どれも一々楽しそうな所とオチがしっかりあるのが素晴らしいですよね!(グルグル目) 今日よりも、明日なのじゃ! は『北斗の拳』の有名な言葉ですが、でもちょっと待って欲しい。やっぱり今も重要なんじゃね? という疑問がふと浮かんでくるぐらい、清清しく暇を謳歌している科学部面々。それを見て、こういう時代があったなあ、とか、こういう時代が欲しかったなあ、とか考えたりもしますが、まあ、無い物はどうしようもないので、この漫画で補強すればいいんじゃないかなー! という位には、高度に楽しく高度にグダグダとした空気に満ち満ちているわけですよ。そこに痺れるッ!憧れるゥ!!
 というのはさておき。
 そんな弛緩しきった回の中にも、ちゃんとしたと言うと変ですが、な回もあります。それがカオリンの昔の話。あるいは、何故科学者っぽいのが好きになったか。な回であります。そこではカオリンが科学者大好き!になった経緯が語られたり、だけどそっち方向には才が無いんじゃないか? と落ち込んだ時期の話が載っているんですよ。科学の成績が並で、科学者とか無理なのかなあ、ってなるカオリン。しかし、高校で科学部のあのハンダゴテ実演を見て、そこが正しいわけじゃないのかもしれないけど、でも、いいんだ! と大悟した辺りは最高潮でした。それはあまりにも「今はそれでもいいんだよ!」という明確な回答で、なもんでカオリンがある意味道を正したけどある意味道を踏み外したのも当然か。と思わされました。最終的に昔の友人にそっち側とされてしまったカオリンの明日はどっちだ。楽しそうだから問題無いけどね!
 そんな科学万能! ではなく科学最高! でもなく、楽しいの最高! な漫画、それが『℃りけい』なのです!