感想 山東ユカ 『スパロウズホテル』3巻

 大体の内容「今日もスパロウズホテルは平常運転」。つまり、佐藤さん無双で、塩川主任無双。そこに新キャラ古城さんが追加され、見栄えの面ではランクアップ! でも、佐藤さんは実際無双だし、塩川主任は盛況具合で波があるし、古城さんは普通に残念めいてるし、と単純に綺麗だなー、可愛いなー、では終わらないのが、『スパロウズホテル』3巻なのです。
 実際問題として、佐藤さんの勇名がどんどん馳せ過ぎている感が待ったなしでありまして、もう周りの繁華街の客引きの間では伝説の女神レベルの愛され方になってきています。

スパロウズの佐藤小百合といえば超美人だけど
 立てば暗殺者 座れば武人
  闘う姿は究極兵器

 語呂悪いわ! と思いますが、言いたいことは分かるから困ります。山東ユカ絵でもかなり美人として描かれてますしね。後、基本として落とすだけでバトる方向は無い佐藤さんですので、最近はとみに勇名だけが募りに募ってる感じもありますが、端々で出来る! という雰囲気出してるし、言外などで〆てる感じもあるので問題無いよねっ! と言わんばかりでもあります。初期に比べてもおっぱいの大きさが大きくなっている気がする以外はあんまりブレがないなあ、佐藤さんは。その辺は出オチ感あるのに強固なキャラ設定であるなあ、とか感心したりも。
 塩川主任は今回も基本的に出来る女で麗しいんですし、繁忙期と閑散期での立ち回りの変化、というか金勘定でぐぬぬるのもいいんですが、やっぱり兄が厄ネタですよね……。どうあがいてもある種の壁として立っているがゆえに、そこが来ると途端に険悪な雰囲気になってしまうのが、でも、険悪な感じの塩川主任もいいわ……。←結局
 今回はまたぞろバレンタインの季節でしゃしゃり出て来た兄に超気持ちの篭ってないチョコをそれでも一応送るんだけど、兄はやっぱり堪えてないと言うかむしろ小悪魔めっ!って天下の往来で大声るのに黙って! と言い切っていた塩川主任不憫過ぎる……。しかもその後は続いてないけど絶対黙らなかっただろう事が容易に想像出来る辺りが更に不憫。なんでや、なんで塩川主任がそんな目にあわなあかんねん……。そこもまた抑圧されるがゆえに輝いているから、いいんだけど。←結局
 新キャラ(だよな?)古城さんはちょっと言いたい事が口と表情に出過ぎる程度のキャラですが、最初の登場ではそういう雰囲気無かったように見えたので、後付ですね! としたり顔などしたくなります。でも、平凡に見えて癖のある人達がいる『スパロウズホテル』においては、それくらいのキャラ付けが無ければ存在感を発揮出来ないのでありますよ。としたり顔(略)。今回の殊勲は塩川兄の尾行のシーンで、ウェディングドレスを見て涙ぐむ兄に恐々とする所が読者と密になっている感、そりゃドン引きだよね、という感じを共有出来る傍観者としていたのが大きかったでしょう。あれは確かにキモい。というのをさらっと提示してくれて、上手いなあ、とか思ったり。別に古城さんじゃなくてもいい気もしますが、佐藤さんははてな?になりそうだし、塩川主任は相当の悪相になって絶縁とか言い出しそうだし、そもそもそんな暇が二人には無いし、というのを鑑みると、やはり適任であったか、という心持ちに。そんな古城さんの明日はどっちなんだろう。
 とかなんとか。