感想 津留崎優 『箱入りドロップス』2巻

箱入りドロップス (2) (まんがタイムKRコミックス)

箱入りドロップス (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「わかってますよ?」。今回も陽一と雫ちゃんのゆるゆるとした微妙な関係は続きながら、しかしこの巻最後に収録されたバレンタインの話で、その関係が妙になってまいりました。何が起きたかというのを端的に言うと、バレンタインって言ったら、あれだろ! なわけですよ。それも一回渡すのバラしかけて、なんでもないですよ! としてからのあれな訳ですよ。その真意は、分かっているのか!? という陽一の台詞に対する「わかってますよ?」の台詞影に隠れて分からない、という大変悩ましい展開。今までの雫ちゃんのぽやぽや具合からして、本当に分かっているのか、と言われても、余人には分からないんですよね。本当に分かっているのか、それとも本当に分かっていないのか。実際の所は、陽一の言うように絶対分かってない案件ではあるんですが、でも素直な好意であり、しかも他の人とは違うという訳でありますからねえ。とにかく陽一が、あの好きになるって分からないとか言ってた陽一が、顔真っ赤で沈み込むんだから破壊力は抜群でありました。天然娘は恐ろしいのー!(CV:古川登志夫
 さておき。
 そんなでかい爆弾をぶっこんできた以外は、特に大きな波乱と言う物はございません。雫ちゃんと陽一、そして友達達がつらつらと毎日を謳歌する漫画でございます。進展めいた物、というと、雫ちゃんが徐々に且つ地味にながら確実に優しく育っている事位でしょう。その成長ぶりは本当にちょっとずつなんですが、それでも気が付くとはっとする位成長しているんですよ。バレンタインのチョコケーキを作る所で、他の目から見た物が提示されて、そこで、ああ! 確かに成長してる! と気付かされます。その衝撃たるや。そしてその視点によって気付かされて、そこから「わかってますよ?」まで持って行かれる訳ですよ。そりゃあ、その言葉を単純に鵜呑めないですって。ですってば!
 さておき。
 この漫画の良い所は勿論出てくる女の子が皆チャーミングですヨネ。なんです。雫ちゃんは無垢可愛いし、萌さんは乙女可愛いし、ジュンジュンも実は乙女可愛い。なんです。
 なんですが。
 しかし、男の子面子もいい味、あるいは良さを出しているんですよ。メインである陽一は最近になってやっとこ顔怖い設定通りの表情が出るようになってきたのを差っぴいてもいい奴ですが、それより相ノ木のいい奴っぷりが留まることを知らない。1巻でも雫ちゃんの為に射的を、って言う所でいい奴っぷりを出していたりしましたが、今回は掃除中に陽一と雫がいいのか悪いのか良く分からない語らいをしているのを覗き見ている奴らを退ける、という助ける方向に動いたりしてました。後、萌さんにするっと手袋貸したりしてたりも。行動的によくある軽いヤツのように見えて、こういういい所がしっかりあるいい奴であります。んですが、今回のカバー下の4コマの行動は一体どういう意味合いがあるんでしょうか。あれはかなり意味深であり、意味が分かるけど意味が分からない。いやさ、行動の意味は分かるけど選択の意味が分からない。チョイスおかしくね!? というので、混乱の度合いが深まる感じ。そういう道筋があるのか、あるいは単にネタなのか。ってまあ、あの行動でネタはないよな……。色んな意味で本気か相ノ木……。
 さておき。
 好きな回の話をすると、ウィラコチャ神回は良かったです。ど頭の一発ネタかと思ったら〆にきっちり使われたウィラコチャ神マジ神。それ以外の部分でも、女の子3人組と男子2人組で別々に楽しんでる感じが青春の無駄遣い感高くて、大変良かったかと。男友達と一緒に変T買ってそのままの勢いでプリクラ撮って、こういうのもいいな、という陽一には、なんだか成長してる感じを持ったりも。そう思える時間って大事よね……。
 後、学園祭回は雫二号の可愛らしさが爆発四散しておりました。本人は驚いてくれるだろう! って思ってますが、周りは完全に癒しとして投入してる辺りの齟齬もいいものでした。明らかにあれで驚く人いないよな……。
 とかなんとか。