感想 クール教信者 『旦那が何を言っているかわからない件』1〜3巻

旦那が何を言っているかわからない件

旦那が何を言っているかわからない件

旦那が何を言っているかわからない件2

旦那が何を言っているかわからない件2

旦那が何を言っているかわからない件 3

旦那が何を言っているかわからない件 3

 大体の内容「あるオタと普通人の結婚生活」。一般企業にお勤めのカオルさんの旦那は、ガチオタでVIPPERでヒキコでした。言ってる事もオタ用語連発でカオルさんにはよくよくは分からない。でも、そんな事は二人の障害にはならないのであり、つまりはラブラブ。そんな軽くファンタジーな夫婦生活の漫画。それが『旦那が何を言っているかわからない件』なのです!
 そうです、この漫画はファンタジーです。現代日本を舞台にしているし、特に超能力も魔法も魔法のような超科学も無いですが、ファンタジーです。オタをこじらせ過ぎてどう考えても一般生活が出来る能力がないカオルさんの旦那が、曲がりなりにも生きていけている、そして結婚出来ているなんて、何かが狂っているんだ! という謎の憤慨をしてしまいそうになるくらいにはファンタジー感が強いです。しかし、それの何がいけないというのでしょう。二人はラブラブであり、つまり愛し愛され、求め合っているのです。それがたとえ現実的ではないように見えたとしても、それがなんだというのでしょうか。これはこの二人のリアルであり、現実なのであり、それをケチつけるなんてのは余人が横から「ごちゃごちゃうるせー!」((c)パラ師匠) と言うものです。
 そう思うと、この二人の間の空気というのが大変素晴らしい事に気付くでしょう。先に言ったように愛し愛されている。お互いを求め、認め合っている。お互いがどんな人であるとしても、たとえ旦那がガチにオタ過ぎるとしても、それは変わらない。普遍的な夫婦愛なのです。「愛だな!」「愛だね!」と口につくくらいに、愛が滲み出ています。この辺の、色々あるけど愛さえあれば問題無いよねッッッッ! というしゃっ面は、『小森さんは断れない!』の、友情と愛情の差はあるものの、それと軌を一にするのは、当然同じ作者だからに他ならないでしょう。そりゃ、色々あるよ。でも、この空間だけは幸せであって欲しい。そういう欲望が、欲求が、訴求が、この漫画の基本テーゼとして存在していると言えるでしょう。
 さておき。
 そんな愛の漫画な本作ですが、基本はコメディ調。しかもラブコメなら最終地点である結婚以後なので、ラブラブだけど猛烈に燃え上がるような展開はありません。ゆるいです。ゆるゆるです。その様を表すのに一番いいのは、三巻の帯の、

それはまるでいつまでも続くハッピーエンド

 でしょうか。燃え上がった後の余暇、というと燻ってる感じでちょっと違うんですが、もう燃え上がらなくてもいいから余熱でおkという、そんな余裕さえ感じる様です。ラブコメの上下幅に追いつくのが苦手な方にも、このゆったりな、でも愛がある空気は良い物だと思ったりも。自分がそうなので、余計にそう感じたりします。その分、壁殴りたい気持ちになる方も多いでしょうな。自分もそうなので、余(略)。でも、全く納得出来ない訳ではないどころか完全に納得出来るラブラブっぷりなので、壁を殴る手も自然とゆるもうものです。幸せって、いいものですよ。マヨタマと三木さんも幸せになればいいのに。
 とかなんとか。