感想 榊 『先輩には頭が上がらない!』1巻

 大体の内容「見えるか? あれがリア充だ」。時任君は新人社会人。オタを隠してデザイン会社で仕事をしていますが、教育係となった迎先輩も、実は隠れオタ。そんな接点から、二人は先輩後輩として仲良くなっていき……。そんな時任君、とりあえず爆発しよっか。な漫画。それが『先輩には頭が上がらない!』なのです!
 とはいえ、仲良くなるとしても男女の仲ではなく、あくまで先輩後輩として且つオタとしてなので、まだだ、まだ爆発するな……。と抑えは利くように見えます。見えはします。ですが、アニメの一気視聴の為にDVD貸してもらったり、見たその足で一緒にそのアニメの劇場版見に行ったり、社員旅行でちょっとだけ一緒に行動とかすると、やはりどす黒い気分になるぜ……。これが、リア充かよ……。リア充だってのかよ! という見当違いの怒りすら湧き上がってきます。時任君に特に艱難辛苦が降りかかる訳でもない、社会人的な辛さはあるにはあるけど、これだけ酷い目に遭ったなら許せるよ。というのはほぼ無い、ちょっと仕事で上手く行かなくて凹むとかはありますが、ので、余計にこちらのソウルジェムが濁ろうものです。そりゃ、迎さんは突然ラブ度が急上昇とかはしてない、特にラブの方向ではなく、あくまで先輩後輩且つオタ友達としての物しかないんですが、それでもこれは非リアには堪えます。その上、デザイナーの野乃さんにも微妙に気に入られているとかもあり、なんというか、時任君、とりあえず爆発しよっか。
 さておき。
 そういうリア充爆発しろ方向だけで見ると切なくなるので、違う方向からも見て心の平均を保つ行動に出ましょう。榊せんせの漫画は前作『CIRCLEサークル』の終わり際とこの漫画しか知らないんですが、どちらもたくさんの人達がワイのワイのするようになると途端に面白くなる、逆に言うとそうじゃないと引きが弱いとも言えるんですが、のでこの巻中盤からはワイのワイので面白さが安定感増してきた印象を持ちました。迎先輩と野乃さん以外は特にスポットが当たる回があった訳じゃないんですが、細かい出番の積み重ねとワイのワイでの存在感が絡まって、思ったより脇役の方達のキャラクター、人物像が理解出来るようになっている辺りは凄いジョブであると思いました。もうちょい積み重ねると、更に良さが増すのでは、とも思ったり。この辺がしっかり理解出来てなかった『CIRKLEサークル』でも、ワイのワイの感良かったんだから、最初から理解していたらそりゃたまらんですよ。やっぱり、連載出来てた人というのは違うなあ。前作の最終的にキャラ多くてゆっくり状態! になってたのが微妙に好みじゃなかったんですが、今作はそういう一辺倒にならないように体がしっかり描かれているような気がして、それもまた気に入る理由となっています。弱点を克服するというのは難しいからこそ、出来たら凄いよなあ、って思うんですよ。
 キャラ話すると、迎さんがいい感じで、表紙の方がそうであり、その魅力がきっちり滲み出る見事なジョブ表紙であります。そして理想の先輩アトモスフィア全開で、こんな社会人が……ってなりますが、それよりもやはり野乃さんが可愛い。ちょっと会いたくない人を回避する為にダンボールで隠れる回は行動が一々可愛らしく、ダンボール取られて返してー! する所とかマストで、なわけでこんな社会人が……。と、迎さんの時にも思った感情が湧いてきます。ゆえにやはりちょっと気に入られてる時任君爆発しよっか。←結局その結論